Wales Japan Club logo

カーディフにおける‘Japan Week' 報告書   

1.総 論 

(1)目的                                      
  • Japan 2001以来この種の‘日本祭り’的行事が企画されなかったために、
    ウェールズの人々の間で‘Japan Week の要望が高まってきたことに応えること。
  • 日本企業特に製造業の投資進出で賑わったウェールズも近年いくっかの企業の閉鎖撤退などで退潮傾向にある。 ここで‘Japan2001で盛り上がった草の根運動’を再現させると共に日本・ウェールズの経済・友好関係を更に振興させるきっかけを作り出すこと。
  • 日本政府・小泉総理の奨励で‘ようこそJapan運動が高まってきており、この日本を紹介宣伝する良い機会を生かすこと。
  • Japan Weekのプログラムとして ウェールズ対日本ラグビー戦が1126日に、そしで響ホール室内合奏団’のコンサートが1130日に予定された。1129日が奥大使の一周忌にあたることから このラグビー戦やコンサートを追悼の機会とし、同時に〔奥・井上イラク子ども基金〕に賛同して、Japan Week開催期間中に募金協力をすること。
(2)効果
  • ´Japan Week開催の予定がわかった時点で既に協力者や催し物への出演希望者など多くが名乗り出てくれたのは、開催期間中の実際の成果とは別に幸先良い出発であった   
  • いよいよ‘Japan Week'が始まってからの人気と反響は予想した以上であった。
  • カーディフを初めとしてウェールズでの日本企業進出は1973年以来ということで、ウェールズ人と日本人との交流や文化紹介などはかなりの歴史を持っている。 その歴史の中で培われてきた交流の深さとは別に 今回は12日間という長い開催期間をもって行われた‘Japan Week' であったので これまで日本文化とは縁の浅かった人々までに文化紹介が浸透したと思う。 プログラムがヴァライティーに富んでいたということもあって広い範囲にわたって人が集まり、新しく開眼の思いで日本の文化を学んだ人が多かったように思う。
  • 今回の‘Japan Week'は2年ほど前に結成された水桜会’が初めて大型事業として取り組んだプロジェクトであった。‘水桜会’は長年ウェールズに住む日本人と日本で住んだり仕事をしたりしたことのあるウェールズ人の親睦団体である。 入会に職業や資格など条件的なものはいっさい無く、ウェールズと日本への愛着と両国の友好親善交流に貢献できる人が条件となっている。 非営利団体であり純粋に両国の発展に尽力することを目的としているので今回の‘Japan Week´の成果により将来への組織固めができたと信じている。
(3)今後の課題
  • 今回の来訪者や参加者の反応から、スポーツや文化交流をただの紹介とするだけではなく、それを‘深めて’行くことの必要性を感じた。日本人社会の歴史が長いウェールズなので、その可能性は充分あると考える。 例えばマーシャル・アーツとひと言で纏めてしまう剣道・柔道・合気道などの中でも最も歴史の古い柔道などでは今回のデモンストレーションで心身障害者の特別模範柔道を披露した。 重度ではないけれども明らかに障害がある人々が、普通の人々と同じように柔道を楽しみ、リーダーがまた誇らしく嬉々として指導している姿が印象に残った。
  • ‘いけばな’や‘墨絵’にしてもこれまでのようにただのもの珍しさだけではなく かなり突っ込んだ質問をする人がいたり 上手に筆をさばいて日本画を描いたりという人が出てきているので これを更に‘深めて’行く必要があると思った。また人の交流の大切さも今後の課題ではないだろうか。 ‘百聞は一見にしかず’のことわざ通り ウェールズ人で日本文化やスポーツに携わる人、また日本から日本の純粋なスポーツや文化を紹介できる人を選び出来るだけ多くの人を両国の間で往復させる企画を考えるべきではないだろうか。その例として1130日に催された北九州市の‘響ホール室内合奏団’と王立ウェールズ音楽演劇大学
  • のオーケストラが大成功であったことから、音楽大学の学長は来年または再来年の同じようなコンサートを既に考え始めたし、それだけでなく音楽大学と北九州市のカレッジとの音楽交換留学の構想も練り始めた。
  • 今回の好評から、この種のスポーツ・文化行事の大切さを痛感した。今後は初級者向けばかりでなく、これまでのスポーツ・文化紹介より一歩前進した内容を深めたものがウェールズでは要求されるのではないかと考える。
  • その意味で今後は年に1回くらいの行事が望ましいと思うが、そのためには今回のような12日間の開催期間は長過ぎると思われ、一日又は二日が適当であると思う。
. 各 論

 各イベントの概要:


  1122日~25日のJapanese Stories (日本映画会)
 
'Twilight Samurai' 'lntertella 555' 'Kurosawa's Hidden Fortress'など三つの映画を選んで 上映したところ、毎日200名の観客席は満員となり開催期間中の動員人数は800 名以上で盛況のうちに終わる。終わった後でも'Twilight Samurai' など見逃した人 が「何処で観れるか」と問合せてくるほど人気があった。 

 
 1125日 午後7時よリ´6000 MilesZushi'のオープニング 最近開店したウェールズで初めての回転寿司屋Zushiの二階にあるGalleryで催さ れた’現代アート展’のオープニング・レセプション。80名ほどの招待客が各界 から集まり大変な盛会となる。

  1126日~123日 ‘6000 MilesZushi'
 日本の14名の若手モダンアーティストによる絵画・写真・モダンアートデザイン展覧会。 アーティストは全て日本の広告印刷業界で活躍中にて、これまでの日本文化紹介にはなかった画期的な展覧会となる。観客はオーソドックスな日本文化紹介と違って 人により驚きの顔つきもあったが、人によっては 日本にもこのように画期的な芸術があることに強い反響を示していた。 一日平均100名近くは来場したので合計700名前後の観客であった。

  11
26日 午後5時よりJapan Week Welcome レセプション
 
ウェールズのみならずイングランドからもスポーツ関係者・事業家・教育関係者・芸術文化関係者など各界を網羅して150名ほどの招待客で賑わった。 レセプションの後 午後7時のキックオフに間に合うように全員でラグビー場へ向かう予定であったが、その時間に間に合わないかと思うほど参加者の話がはずみ 会場は盛り上がった。 その後の試合の結果は日本の大敗に終わったが その前のレセプションの盛り上がりようは大変なもので、その勢いで試合ももう少し成績がよかったらと一同残念に思った。
 ラグビーの試合に先立ち 昼休みにカーディフの繁華街ショッピングセンターで日本のTaiko Drummer の太鼓演奏会を開き、買い物客の足を止め評判となった。 またラグビー場でも試合直前に演奏を聞かせ、この2回の日本の太鼓演奏がたいへん功を奏した。試合前の国歌斉唱では ウェールズが誇る男声合唱団と
王立ウェールズ音楽演劇大学で声楽専攻の日本人女子学生が着物を着て一緒に‘君が代’を歌い これもなかなかの評判となった。

 
 1127日 友好親善ラグビー試合
 午後12時半よりロンドン・パリ・デュッセルドルフ在住の日本人ラグビーチームと土地のカーディフ高校卒業生チームとで友好親善ラグビー試合を持った。 前日の試合から日英お互いに打ち解けてこれも非常に愉しい半日となり 日英親睦に大変役立った。

 1127日 ’6000 Miles @ Journeys'  
 午後8時より市内のクラブ‘Journeys' にてモダンミュージックの合同パフォーマンス。 25日からの日本現代アート展でアクション・ペインティングを披露したAkira Osawaを初め5名のミュージッシャンの参加で 会場は200名ほどの人が集まり盛り上がった。

  
1128日 Japan Bayday  
 ウェールズの炭鉱の歴史の中で 石炭取引で重要な役目を果たした歴史的な建物‘Coal Exchange' Japan Baydayは催された。  日本のスポーツ・文化紹介を目的として 広間の真中にスペースを作り剣道・空手・柔道などマーシャルアーツの模範演技や墨絵をまず披露した。

 剣道は4年前‘Japan 2001' が始まる直前頃に8名から始まった愛好会であったのが 今では会員40名を越えるグループにまで発展した。 また柔道では ただの柔道グループではなく〔総論〕でも言及したように心身障害者にも柔道を広めて社会的にも多大に貢献している。空手の技術スタンダートも非常に高く 来場した観客が息を呑んで見守る光景も随分見られた。 墨絵はプロのアーティスト小野琢正氏のデモンストレーションであったが、これも純粋に高度な日本文化芸術の紹介で わざわざそれを観に来た人もかなりいた。

 その後 広間の一方にしつらえた舞台でカーディフやその近郊在住の日本婦人による‘着物ファッションショー’やロンドンから出張の深野多加史氏による‘いけばなパフォーマンス’を見せた。 ‘着物ショー’の日本婦人達はウェールズ進出日本企業勤務者の夫人達と家族で全くの素人。とはいえ既にかなり何回が‘着物ショー’を見せているのでそれはどの素人っぽさはなかったのではないかと思う。 それに比べて深野多加史氏はプロフェッショナルでこれは観客を充分に満喫させた。 深野氏はこのパフォーマンスを親しかった奥大使の追悼として捧げた為にその意味でも観客は大変感慨深くパフォーマンスを見つめていた。舞台一杯を使うこのパーフォマンスは カーディフの会場だけではもったいないと観客がいうほど立派な素晴らしいものであった。

  ホールの広場や舞台での演技とは別に 部屋の回りに1213個の机を出し’酒’‘日本関係書籍’’日本祭り風景と縁日’’習字’‘墨絵と和紙’‘自然環境に優しい教育材料’‘俳句’‘折り紙’などのブースを設けた。観客は三々五々歩きながら各ブースに立ち止まって 説明を聞いたりデモンストレーションを観たり 自分でワークショップしてみたりというように楽しんだ。 特に‘自然環境に優しい教材’担当の矢野ティー氏は本年5月のチェルシー・フラワー・ショーに於いてSilver Medal 及びBest City Garden のカップを授与されたプロであり ブースの回りは観客で賑わった。  どれも大変な人気であったが 特に‘習字’ブースでは自分の名前を漢字で書いてもらおうとする人が長蛇の列で これはいつものことながらなかなかの人気であった。

 一方入り口のホールでは JAL及びJNTOが日本の宣伝に努め、特にJNTOのブースでは日本の観光雑誌やパンフレット類が大変な人気で、皆嬉しそうに持ち帰っていた。 JALやJNTOのブースの向かい側にウェールズのローカル婦人達による‘いけばな’作品展示があり これがまた美しく向かい側の日本宣伝観光用ポスターやパンフレットと実によくマッチしていた。開催時間は午前11より午後5時までの6時間であったが その間に人の流れは止まらず 合計1800人は充分に参加した。

  1129日 琴とハープの合同演奏会  Wale/Japan Fusion in Strings' と銘打って日本の琴とウェールズのハープとの合同演奏会。 琴は日本の末 寛子氏それにウェールズからはハープ演奏者のBethan Hughes Mali Llywelyn。特にMali Llywelynは まだ18歳の若さでいながら次々に奨学金や賞を受けている将来大変有望な新進ハーピスト。 100名ほどの観客で会場は両国の美しい楽器の音に聴き入り、琴とハープの音色の調和の美しさに開眼の思いで午後7時から9時までの2時間を楽しんだ。

  
  1130日 フィナーレ・コンサート
  北九州市の‘響ホール室内合奏団’と王立ウェールズ音楽演劇大学(Royal Welsh College of Music & Drama)オーケストラとの合同演奏会で、午後7時半より10時まで Japan Week のフィナーレとして コンサートは開かれた。 聴衆は300名。
前日の1129日が昨年イラクで非業の死を遂げられた奥大使の一周忌であること、そして同合奏団指揮者で東京芸大助教授の澤和樹さんが英国公演の際に地方都市を紹介していただくなどお世話になった奥大使にお礼をしたかったこと、その上弟さんが奥大使と同級生で親しかったことなどからこのコンサートを奥大使の追悼演奏会とすることに全員の意見が一致した。 同時に〔奥・井上イラク子ども基金〕への協力も決め、Japan Week 開催期間中 機会あるごとに基金募集をすることにした。

 
演奏に先立ち 小さい式典を行った。 演奏会会場であったNational Museumの館長、音楽演劇大学の学長のスピーチの後 日本大使館広報文化センター所長 もたい参事官が追悼の言葉を述べられ会場の全員
一分間の黙祷をした。 演奏会は素晴らしいものであった。‘響ホール室内合奏団’の実力もさることながら、奥大使の追悼という意味で全員の気持ちが纏まった上 音楽大学との共演で日英両国の音楽家が完全に溶け合うことができた。演奏と会場の雰囲気の余りの美しさに感激したウェールズ音楽大学の学長は この演奏会を毎年定期的に行いたいと言う希望を出し、さっそく企画委員会を構成してはどうかど‘水桜会’委員会に申し出てきたほどであった。 他にも 将来は北九州市の大学とウェールズ音楽大学の間で音楽学生交換制度などを考えられないかと言う提案もあった。 そればかりでなく、このコンサートに魅了され鼓舞された日本人大学生(力-ディフ大学でジャーナリズムを専攻)が たまたま琉球三味線を弾くということから 他に津軽三味線を弾く友人や神楽のできる友人と一緒に演奏会をして日本文化普及に貢献したいと企画し始めた。 フィナーレ・コンサートはこのように演奏会の後も音楽の余韻を残しただけでなく 文化交流という形で今後まだまだ出来ることの可能性を示唆してくれた。

 最後に 今回のJapan Week開催中 いろいろな会場へ野上駐英大使ご夫妻にご臨席いただき 特に28日のJapan Bayday では 各ブースをお回り頂いたり 舞台よりスピーチをして頂いたり出演者・出展者・主催者ともども大変光栄な一日であった。