ウェールズ花暦 4 月
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Flowering Cherry(フラワリング・チェリー): サクラ ラテン語名: Prunus
ウェールズに住むようになって,時々日本の知人に「イギリスでサクラやアジサイは咲くのか」といったことを聞かれることがあります。サクラもアジサイもその時期になるときれいな花を咲かせます。この記事を書くようになり,「いかに日本の植物がイギリス人に愛されているか」ということを随分意識するようになりました。19世紀末の日本の開国を機に,日本の植物はヨーロッパに熱狂的に迎えられたのです。特に花や葉,樹形の美しいものは(その代わりと言っては何ですが,野菜や薬味に使われるような実用的な植物の紹介はあまりなされていないように思います),よほど育てにくい品種でない限り,大体日本と同じようにイギリスにもあると思って間違いありません。さて今回のお題のサクラ,Wild Cherryと呼ばれるPrunus avium(セイヨウミザクラ)等のさくらんぼのなる品種はイギリスでも昔から自生していました。ミザクラ(実桜)に対し「花を楽しむサクラ」ということで日本で言うサクラはFlowering Cherryと呼ばれています。日本からはPrunu s incisa(マメザクラ)やPrunus lannesiana(サトザクラ)の園芸品種が多く入ってきているようですが,日本のようにソメイヨシノが何百本というような植え方はせず,庭木や街路樹のひとつといった扱いです。バラ科の落葉高木(種類によっては小高木)で,属名のPrunus(スモモ属)にはサクラの他にモモ,スモモ,アンズ,ウメ,ユスラウメ,ウワズミザクラ等も含まれます。Prunus は「スモモ」を意味するラテン語。サクラだけCerasus(サクラ属)という属名で独立させるという説もあるようです。ウメやモモはまだ違いが分かるものの,スモモとサクラは結構似ています。イギリスでは2月頃から(今年は寒かったので大分開花が遅れました)ちょっと小さめの薄いピンクや白色のサクラのような花をよく見かけるので,「ここは2月からサクラが咲くんだぁ」などとのん気に感心していましたが,今回調べたところ,開花期や花の感じから言ってどうもPrunus cerasifera(ベニバスモモ)等のスモモの仲間のようだということが分かりました。サクラの花は華やかで美しいですが,スモモの花もまた可憐で可愛いものだということを知りました。
Common Gorse(コモン・ゴース): ハリエニシダ ラテン語名: Ulex europaeus
この時期道路沿いでこの黄色い花をよく見かけます。場所によっては延々この花で覆われているという景色にも出くわします。この花はGorseもしくは Furze, Whinなどとも呼ばれています。Gorseはgorst,Furzeはfyrsという古い言葉に由来し,どちらもこの植物が生えている「荒野・荒地」を意味するそうです。和名のハリエニシダは名前の通り,エニシダのような花と針のように尖った葉を持つところから名づけられています。西ヨーロッパから北アフリカ原産のマメ科の常緑低木で高さは2〜3mほどになります。乾いたやせた土を好み,丈夫で繁殖力が強いことから,オーストラリアやニュージーランドなどに園芸種として持ち込まれたものが帰化して大きな問題となっているようですが,反面,野生の鳥や動物などの棲み処や隠れ場所となったり,マメ科の植物ということで窒素を土壌に定着させる働きもあり,イギリスでは肯定的な見方をしているようです。非常に燃えやすく,燃やした灰は良い肥料になるとか。この品種の他にイギリスでは西部でよく見られるUlex gallii(Western Gorse 樹高約1.5m)とムーアに育つUlex minor(Dwarf Gorse 樹高約0.8m)が見られ,両方とも7〜9月に黄色い花を咲かせます。
( 狩野 記 ) |