Wales Japan Club logo

ウェールズ花暦  5 月

>>> メニューページに戻る

English Bluebell(イングリシュ・ブルーベル): イングリシュ・ブルーベル
ラテン語名: Hyacinthoides non-scripta

0605_hana1 English BluebellBluebellの咲きみだれる林の小道」はイギリスの春の代表的なイメージのひとつ。この冬が寒かったせいか,今年はこの花の当たり年だそうで,確かに高速道路沿いの何の変哲もない木立の中でさえも,時々地面がこの花でうっすらと青く染まっているのを見かけました。Bluebellという名前の通り,紫色がかった青いつり鐘状の花が風が吹くたびにやさしく揺れます。ヨーロッパ原産のユリ科(ヒアシンス科という説も)の球根植物で,イギリスに昔から自生していました。高さは大体20〜30㎝くらいになります。属名に多少ばらつきがあるようで,Hyacinthoidesの他にScilla non-scriptaやEndymion non-scriptusと呼ばれることもあります。最近では園芸品種として多く出回っているSpanish Bluebell(H.hispanicaもしくはS.hispanica)との自然交配が進んで,純粋なEnglish Bluebellが減少してきているそうで,English Bluebellの自生地に近い場所ではSpanishの方を栽培してはいけないとか。私の住んでいる近くでは殆どがSpanishで(実は写真も Spanishもしくは交配種です),English Bluebellを探すのは結構大変ですが,先日HampshireのThe Vyneというお屋敷を訪ねた時に,English Bluebellが群生していて「やっぱりEnglandだものね」と妙に感心してしまいました。近縁種なので良く似ていますが,見分け方としては葉が細く,花色が濃く,花が茎の片方にぶら下がるようにして咲くのがEnglish Bluebellで,Spanishの方は葉が比較的幅広で,花色は薄く(白やピンクもよく見られます),花は茎の片側だけではなく全体につきます。 Hyacinthoidesという属名は「ヒアシンスに似た」という意味で,non-scripta「書かれていない」という変わった種小名は,本家のヒアシンスと区別する為につけられたそうです。ヒアシンスにまつわるギリシャ神話では,ヒアキントスという美しい若者が太陽神アポロの寵愛を受けていましたが,横恋慕した風の神ゼフュロスが嫉妬して,円盤投げの最中に風でそらした円盤で彼を殺してしまいます。悲しんだアポロはその時の血でヒアシンスという花を作り,花には嘆き悲しむ声を表すAi Aiという文字が描かれた(ヒアシンスは花弁の中央部の色が濃く,筋が入っているように見えるのをいうのでしょうか?)ということになっており,一方 Bluebellにはこの文字が「書かれていない」というわけです。しかし,たとえ神話に描かれていなくとも,Bluebellが長い間イギリスの人々に深く愛されてきたことに変わりはありません。

Horse Chestnut(ホース・チェスナッツ): セイヨウトチノキ
ラテン語名: Aesculus hippocastanum

0605_hana2 Horse Chestnut5月になると街路にこの花を鈴生りにつけた木が目を引きます。満開の時はまるで大きな木いっぱいに(大きなものでは20〜30mくらいにもなります)ロウソクが灯されているかのよう。英語名ではHorse Chestnut,フランス語では実の形状が栗に似ていることから「マロニエ」とも呼ばれており,こちらの名前の方が日本ではお馴染みかもしれません。種小名のhippocastanumもhippo「馬の」,Castanum「栗」という意味で,英名と同様「馬栗」を意味します。 昔この植物の栗のような種子を馬や家畜の飼料に使ったり、ウマの咳を治す薬に用いたりしたことから、このような名前で呼ばれるようになったそうです。花色は写真のようにクリーム色に中心部がピンクというものが一般的ですが,品種によっては濃いピンクの花もみかけます。花が終わると栗のイガとはまた違ったとげのあるイガにつつまれた実をつけます。日本のトチノキ(A.turbinata)によく似ていますが,葉の大きさが違い,またトチノキの実にはトゲがないので,区別するために「セイヨウトチノキ」と名づけられています。ギリシャ北部からトルコ地域原産の落葉高木で,イギリスには17世紀初頭に入ってきたようです。実にはサポニンという成分が含まれており,強心剤や去痰剤,止血や炎症を抑える為の医薬品などにも使用されています。食用としてはタンニンやサポニンといった成分を除いたあと、パンに加工して食べたり,リキュールを作ったりして利用されてきたようです。マロングラッセも古くはこの実で作ったとか。イギリスでは,子供たちがHorse Chestnutの実を糸に通してつるし,互いにぶつけ合って相手の実を割る遊びを"Conker"(トチの実遊び)と呼び,この木の別名をConker Treeとも言います。

( 狩野 記 )