ウェールズ花暦 11 月
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木の実いろいろ
11月になると目を引く花をみつけるのはとても難しい。ほそぼそと咲き続けている花もあるにはありますが,紹介するにはあまりにもわびしい状態ですので,今回はこれまで紹介してきた植物の実について書いてみたいと思います。イギリスでは実をつける植物が多く,大体8月下旬頃からいろいろな木や草で実が色づき始めます。筆者の家の周りは自然も豊富で(要は田舎ということ!)野鳥も多く見られるのですが,この理由のひとつは木の実,草の実の多さによるものと思われます。まずは花暦のコーナーで最初に登場したセイヨウサンザシ:Hawthorn(写真左)の実をご紹介しましょう。8月の終わり頃から赤い実が目立つようになります。読者の方から,日本で入手した八重で赤花のセイヨウサンザシを入手したが実がつかないというメールを頂きました。「八重で赤花」の品種(5月の記事でもピンクの八重の写 真を掲載しています)はCrataegus Laevigata(C.oxyacanthaとされている場合もあります)というものだと思われ,この品種の八重のものは殆ど実をつけないそうです。5月の記事では道路際でよく見かける種類ということでCrataegus monogyna(Common Hawthorn)の品種名を紹介していますが,ほかにもいくつか品種があります。写真右は6月に紹介したセイヨウニワトコ:Elderの実です。この木も8月の終わり頃から実が色づき始めます。学名にSambucus nigra(nigraは黒という意味)とあるように光沢のある黒い小さな実をにたくさんつけます。ビタミンCを多く含んでいて,花と同様にワインを作るのに用いたり,ジャムにしたりします。ただ生で食べるのはあまりよくないらしいです。古代ローマでは実の汁で髪をそめたとか。ちなみに日本のニワトコは黒ではなく,赤い実をつけます。
さてお次は正確には木の実ではないのですが,同じく昨年6月の記事として掲載したハマナス:Rosa Rugosaの実(写真左),いわゆるローズ・ヒップです。イギリスではローズ・ヒップをつけるバラも多く,花の後にも庭に色を添えてくれます。ハマナスの実はそれらローズヒップの中でも大きさが最大のものの一つです。ジャムなどを作るほか,生食しても結構いけるらしいのですが,まだ食べたことがないのでなんともいえません。ローズヒップはビタミンCの宝庫で美容にも良いと言われています。6月の記事ではハマナスの名前の由来は実が「茄子」に似ているからと書いていますが,通常私たちが食べる紫色の茄子はあまり似ていませんね。ただ生け花などに使われる「赤茄子」はチェリートマトのような実で,大きさ的にも 色的にもこのハマナスに結構似ているので,個人的には「浜梨」が変化したという由来よりも 「茄子」説の方がしっくりきます。でも「梨」という言葉も,種類を問わず食べられる実をつける植物に名前としてよくつけられるのでこちらの方も結構信憑性があり・・・中々判断が難しいところです。写真右は昨年11月の記事として掲載したヒイラギナンテン:Mahoniaの実です。この植物は花が冬場に咲くこともあって,他の大部分の実とは異なり,5〜6月頃に熟します(品種によって花期や実の熟する時期に多少の違いあり)。今年の6月に転居した際,新しい庭にこの木があり,実がたわわになっていて見事だったのですが,丁度「熟れ頃」だったのでしょう,引っ越して1週間もたたないうちに,ひっきりなしにやってくる小鳥たちによって全部食べられてしまいました。鳥たちにとってはご馳走のようです。
最後に今年5月の記事に掲載したセイヨウトチノキ:Horse Chestnutの実を紹介します。写真右下のトゲトゲのいが(写真は実がまだ小さい時に撮ったもので,実が大きくなるともう少しトゲトゲ感が減ります)には栗に良く似たつややかな茶色の実が入っています。9〜10月になると熟して地面に落ち始めますが,セイヨウトチノキが並木になっているところは結構多いので,その時期になるとこの木の下を通る度,頭の上に落ちてきたりしないかハラハラします。栗のように食べられれば頑張って拾うところですが,5月の記事にも書いたように実にはサポニンという成分が含まれており,さらすなどの加工をしないとお腹をこわしてしまいます。さてこの実を使った遊びConkerにつ いてちょっとご紹介しましょう。いがから取りだした実に穴をあけ,そこに適当な長さと太さの紐を通し,紐の両端にはそれぞれ結び目を作って実が落ちないようにします。1対1のトーナメント制で,一方は実が紐の下にぶら下がった状態で持ち,もう一方がその実目がけて自分の実を当て,実が割れた方が負けというルールです。残念ながら筆者はまだ実際に子ども達がこれで遊んでいる場面を見たことはありませんが,“World Conker Championships”なる大会が毎年10月にPeterboroughのAshtonという街で開かれています。1965年から続いていると言うのですから,40年以上の歴史をもった大会です。腕に覚えのある方,チャレンジしてみてはいかがでしょうか。
World Conker Championships: http://www.worldconkerchampionships.com
( 狩野 記 ) |