ウェールズ花暦 9 月
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Yucca(ユッカ): ユッカ ラテン語名: Yucca
エキゾチックな葉を茂らせている大きな株から釣鐘型の白い花をたくさんつけるこの植物,ユッカと言います。本には花期は7〜8月とありますが,私の家の近くではちょうどこの時期に見頃です。北米と中南米の乾燥地が原産で,30〜40の品種があり,園芸品種としても多くのものが出回っているため,ここでは属名のみとしてあります。日本でよく栽培されているのはYucca gloriosa(英語名:Spanish dagger)という品種で,厚葉君が代蘭(アツバキミガヨラン)という和名がついていますが,これは高さが2m以上にもなるため,こちらでは小型の Yucca filamentosa(英語名:Adam's Needle,和名:糸蘭,イトラン)とい品種も人気があるようです。イギリスへはY.gloriosaが16世紀中頃の大航海時代にもたらされ,それから1世紀以上たって Y.filamentosaが入ってきました。Yuccaという名前は,本来はトウダイグサ科のキャッサバを呼ぶカリブの地域の言葉でしたが,同じ種類だと思ったJohn Gerardという16〜17世紀の人がこの名前をつけ,それが広まったようです。Yucca自体はリュウゼツラン科の木本性の常緑植物(英語的には Shrubの仲間に入ります)で全く違う種類です。種小名のgloriosaはglorious(華麗な,輝かしい)という意味で, filamentosaはfilament(繊維)のという意味。実際に中南米では葉から繊維をとるようで,花芽は食用にするなど利用価値の高い植物のようです。
Pampas Grass(パンパス・グラス):シロガネヨシ ラテン語名: Cortaderia selloana
この時期になるとそれまでは「大きな緑の茂み」でしかなかった株からいつのまにか金色のゴージャスな穂がでてきて,周囲の注目を集めるこの植物,パンパス・グラスと言います。Pampasというのは南米の大草原を意味し,そこに生えるgrass(イネ科の植物)ということでこの名前がつきました。和名のシロガネヨシは「白銀葦」と書き,見たままの名前です。花穂はまるでダチョウの羽のようなボリューム感があり,日本のススキとは随分風情が異なりますが,やはり同じイネ科ということで,風に揺れる姿に秋を感じさせます。雌雄異株で,観賞用に植えられるのは雌株の方だそうです。イギリスで専ら栽培されている Selloanaという品種は南米原産ですが,同じコルタデリア属には20種以上があり,南米を中心にニュージーランド,ニューギニアなどが原産になっています。今回属名のCortaderiaの意味は分かりませんでしたが,Selloanaという種小名はドイツの博物学者Friedrich Sellow(1789-1831,Selloと表記されることも)の名前から付けられたものです。イギリスには19世紀中頃に持ち込まれ,さぞかしビクトリア期の人々を驚かせたことでしょう。草丈は3m以上にもなることから狭い庭には植えられませんが,丈夫で病害虫にも強く,美しい花穂が長く残って秋冬の庭に趣を添えることから人気があるようです。乾燥させた花穂はフラワー・アレンジメントなどにも用いられます。
( 狩野 記 ) |