ウェールズ花暦 11 月
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これまで2年半にわたり,月毎にウェールズで咲く花をご紹介してきましたが,夫の帰任に伴い,帰国することとなった為,今回をもって最終回とさせて頂きます。これまでこのコーナーをご愛読いただいた皆様,まことに有難うございました。最後ですので,記事の最後にこれまでの記事を書くにあたって参考にした書籍等についてもご紹介いたします。
Winter Jasmine(ウィンター・ジャスミン):オウバイ ラテン語名:Jasminum nudiflorum
さて11月ともなれば真っ白に霜が降りる朝も何日かでてきますので,10月までは健気に咲き続けてきた花々もかなり“残骸”と化してきます。そんな中でレモン色の鮮やかな花をつけるこの植物はとても貴重な存在です。冬の花は良い香りのものが多いし,ましてやJasmineというくらいですから,きっと良い香りがするに違いないと思い込んでいたのですが,実は殆ど香りらしき香りはありません。家の庭にもあるので嗅いでみればすぐ分かることなのに,思い込みというのは困ったものです。花期は長く11月から3月頃まで咲き続けます。和名のオウバイ(黄梅)は梅の咲くような時期に咲く黄色い花ということから付けられたようです。もともと中国で黄梅と言われていたのが日本に定着し,本家中国では現在は「迎春花」というなんともめでたい名前で呼ばれています。まぁ花の形を見れば梅よりジャスミンの仲間だなというのは納得がいきます。モクセイ科の落葉低木で中国原産。高さは大体1mほど(壁に這わせると3mくらいになる場合もあるらしい)になります。Jasminiumはアラビア語(もともとはペルシャ語から来ているらしい)で「マツリカ(茉莉花)」を表すYasminという名前に由来します。nudiflorumは「裸の」を意味するnudiと「花」を意味するflorumで,直訳すると「裸の花」となりますが,その心は葉の出る前つまり木が裸の時に花が咲くというところにあるようです。日当たりの良いところを好みますが,それ以外はあまり贅沢を言うこともなく,育てやすいことから庭木として人気があります。
Bodnant Viburnum(ボドナント・ヴァイバーナム):ビバーナム・ボドナンテンセ ラテン語名:Viburnum x bodnantense
2006年の12月に同じガマズミ属のViburnum tinusを紹介しました。今回紹介する花は,同じく冬に咲くViburnumでもとても良い香りを持つBodnant Viburnumです。ヘリオトロープの香りに似ていると言われ,甘く沈むような,濃厚な蜂蜜のような香りです。日本では「香りビバーナム」や「香りガマズミ」という名前でも出回っているようです。学名に慣れている方はViburnum x bodnantenseの“x”を見て,「交配種だな」とピンと来るのではないでしょうか。この品種はViburnum farreriという品種とViburnum grandiflorumという品種をかけ合せてできたもので,片親のViburnum farreriがFragrant Viburnumとも呼ばれ香りが良く,その子にもこの性質が受け継がれています。写真は我が家の庭に咲いているものですが,花が小さく控えめなので,実はbodnantenseではなくfarreriなのではないかと,ちょっと自信がありません。ただ最近は子供の人気に押されて親の方はあまり出回っていないようなので,今回はbodnantenseとして紹介することにしました。種小名のbodnantenseは第23回のShort Tripで紹介した北ウェールズのBodnant Gardenで1935年に交配に成功したことから付けられました。“Dawn”という品種に人気があります。実はBodonantで交配が成功する2年前にRoyal Botanic Garden in EdinburghのCharles Lamontという人が交配に成功しているのですが,まぁその人はあまり大きく宣伝しなかったのでしょうね。種小名には名前が残りませんでしたが,園芸品種名にCharles Lamontという名前が残っています。親品種のfarreriは中国中西部原産,grandiflorumはヒマラヤ原産です。スイカズラ科の落葉低木で高さは2~3mほどになります。花期は11月から3月ころまでで,寂しい冬の庭に色と香りを添えてくれます。
参考文献
【書籍】 The Flowering Shrub Expert Dr. D.G. Hessayon Published 2002 by Expert Books a division Transworld Publishers ISBN 0-903505-39-8
The Bedding Plant Expert Dr. D.G. Hessayon Published 2002 by Expert Books a division Transworld Publishers ISBN 0-903-50545-2
Wild Flowers of Britain Roger Phillips First published 1977 by Pan Books Ltd This edition published 1994 by Macmillan Reference an imprint of Pan Macmillan Ltd ISBN 0-330-25183-x
Trees in Briatin Roger Phillips First published 1978 by Macmillan Reference Books a division of Pan Macmillan Ltd ISBN 0-330-25480-4
Plant Names Explained Comissioning Editor: Mic Cady, Art Editor: Alison Myer Production Director: Roger Lane This edition published in 2005 for Advanced Marketing (UK) ltd A David & Charles Book ISBN 0-7153-2218-4
The Origin of Plants Maggie Campbell-Culver Published 2001 by Headline Book Publishing This paperback edition published 2004 by Eden Project Books a division of Transworld Publishers ISBN 1-903-91940-1
現代いけばな花材事典 監修:勅使河原宏・大場秀章 編集・制作:株式会社草月出版編集・制作部 発行:株式会社草月出版 1999年4月25日 初版第1刷発行,1999年8月3日初版第2刷発行 ISBN4-88145-002-6 C0576
【インターネット】 Wikipedia: http://en.wikipedia.org/
その他,各花毎に様々なサイトを参照しましたが,煩雑になるため,ここでは割愛します。
( 狩野 記 ) |