ウェールズ花暦 9 月
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Sedum(シーダム): オオベンケイソウ ラテン語名:Hylotelephium (=Sedum) spectabile
オオベンケイソウ(大弁慶草)という日本的な名前がついているので,日本でも普及しているのかも知れませんが,恥ずかしながらこの花はこちらに来て初めて認識しました。シャーベットのような白っぽく薄い緑(英語の別名でIce Plantというのは多分ちょっと凍っているみたいな葉や茎の色合いから来ているのでしょう)の葉や茎にこの時期になるとピンク色(たまに白色の品種もあり)の小さな星型の花をたくさんつけます。他の花がそろそろ終わりになる9月頃から咲き始めるので,秋の花壇にはよく植えられます。しかし花が咲かなくても多肉質の葉の形はなかなかに造形的で面白い植物です。我が家の庭にも,前住んでいた人がそこかしこに植えていて,それまであまり気にしていなかったような場所がピンク色に染まっていたりすると,「おぉ,そういえば君ここにいたよね!」とちょっとうれしい驚きがあります。ベンケイソウ科の多年草で中国,朝鮮半島原産。草丈は30~70cm程度になり,冬に地上部は枯れます。もともとはSedumという属名(日本ではマンネングサ属と呼ばれています)で呼ばれていましたが,最近Hylotelephium (ムラサキベンケイソウ属)という属名に変更されたようです。しかしイギリスではSedumの名前が市民権を得てしまっているので,昔の名前のままSedum spectabileと記されている本やサイトも多く,店などでもSedumの名前で売られていることが殆どです。日本でもセダムという名前で呼ばれることもあるようです。Hylotelephiumという属名はHylo(ギリシャ語で「森」の意味)とtelepion(ギリシャ語でベンケイソウのような多肉植物を表す言葉)がくっついたものです。spectabileはラテン語で英語のspectacularにつづりが似ていますが意味もその通り「見ごたえのある」という意味です。多肉植物の性質として乾燥に強く,その上耐寒・耐暑性があって丈夫で育てやすいことから,人気があります。
Japanese Anemone(ジャパニーズ・アネモネ):シュウメイギク ラテン語名:Anemone hupehensis
日本ではシュウメイギク(秋明菊)という名前で知られるこの花,キク科ではなく,英語の名前からも分かるようにアネモネの仲間で,キンポウゲ科の多年草です。8月頃から咲き始め,10月頃まで白やピンクの可憐な花で目を楽しませてくれます。背が高く(草丈1mくらいになります),風に揺れる姿は優しく,秋を感じさせる花です。花弁に見えるものは実は萼(ガク)で,これが散ったあとも黄色い小さな球状の花の芯が残ります。小さい坊主頭がいっぱいついているみたいで中々可愛らしい。日本には中国から入ってきた八重咲きのものが野生化して,貴船菊と呼ばれています。原産地は中国で,種小名のhupehensisは中国の湖北(フーペイ)地方を意味します。では何故Japanese Anemoneなのか?・・・謎ですね。この花は19世紀の有名なプラントハンターRobert Fortuneが1844年にイギリスへ持ち込みました。なんでも上海の墓地に咲いていたのを採取したらしい。このFortuneという人は日本にも1860年と,1861年に日本を訪れているのでそれと何か関係あるのでしょうか?本来シュウメイギクというと Anemone hupehensis var. japonicaという品種を指すらしいのですが,イギリスでは主に中国から入ってきた品種と近縁のヒマラヤ原産種をもとに育種が進み,園芸品種も多いことからここではvar. japonicaは省略しています。Anemoneはギリシャ語で「風」を意味するanemosと「住む」を意味するmoneがくっついたものです。一度根を張ると毎年きちんと花を咲かせてくれる律儀な花で,我が家の庭の片隅でも今年もまた可憐なピンクの花を咲かせています。
( 狩野 記 ) |