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ウェールズ花暦  6 月

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Elder (エルダー): セイヨウニワトコ
ラテン語名: Sambucus nigra

0506_hana1 Elder道路沿いの木立の中や庭木に多く植えられているこの木,この時期は小さなクリーム色の花が集まって傘のような形状を成して咲いているのをよく見かけます。名前は Elder ,イギリスの小説を読むと時々「ニワトコ」という木の名前が出てきて,どんな木だろうと思っていましたが,これでした。ただし日本でニワトコと言われるものは日本が原産で,こちらはヨーロッパから西アジア地方に広く分布し,区別のためにセイヨウニワトコと呼ばれています。スイカズラ科の落葉樹で 7m くらいにまで成長します。丈夫で,春は花,秋は黒い実(ラテン語名の nigra は“黒”と言う意味です)をつけ観賞できる上,花や実はワインやジャムにして楽しむこともできます。花や実の他に葉や根にも薬効があり,ヨーロッパでは「万能の薬箱」として昔から庭に植えられてきました。香りは「マスカットのような」と形容されることが多く,爽やかな甘い香りがします。乾燥させた花は香り付けに使われることも多く,スーパーなどで Elder Flower を使った清涼飲料水を売っているのを見かけたことのある方は多いのではないでしょうか。 5 月に紹介した Hawthorn と同じく,ヨーロッパの風土に深く根付いた木で,「 Elder を燃やすと悪い霊が家に入ってくる」と言われてきました。

 

Red Valerian (レッド・ヴァレリアン): ベニカノコソウ
0506_hana2 Red Valerian
ラテン語名: Centranthus rubber

筆者がウェールズに来て最初に「この花何だろう?」と思った花です。道路脇や庭先の他,石垣や石壁のわずかな割れ目にも育って赤色(ラテン語名の ruber は“赤”と言う意味です)から薄いピンク,白色の花を咲かせます。雑草のようだけど,それにしてはきれいな花で,目を引きます。はじめはシモツケソウ ( バラ科 ) の 1 種か何かと思いましたが,調べてみるとオミナエシ科の植物でした。耐寒性のある多年草で秋には地上部が枯れ,成長すると 70 〜 80cm の高さになります。原産はヨーロッパ南部。イギリスでは海辺を中心に南部でよく見られます。丈夫で環境を問わず世話要らずの植物ですが,種類によっては落ちた種で容易に発芽する為,庭植えにする場合には注意が必要です。若い葉はそのままサラダなどにして食べることができます。英語名は上記の他に, Bouncing Bess , Drunken Sailor, Jupiter's Beard 等々。日本では明治の中ごろに持ち込まれ,切花用に多く栽培されているようです。

Rosa Rugosa (ローザ・ルゴーサ):ハマナス
ラテン語名: Rosa Rugosa

0506_hana3 Rosa Rugosaこの花もこの時期道路脇の植え込みでよく見かけます。くっきりした印象の緑の葉に ( ラテン語名の rugosa は“しわのある”という意味です。葉脈が深く,はっきりしていてしわのように見えることから名づけられたようです ) 美しい赤紫色もしくは白の花が映え,見るだけでも十分価値がありますが,香りも素晴らしい。初めてこの花と出会った時は,その芳しい香りにはっとさせられて,花は後から気づいたくらいです。「さすがバラの国イギリス!」と思って調べてみると,実はこの花日本が原産でした。バラの原種の1つで,ヨーロッパにはスウェーデン人0506_hana4 Rosa Rugosaの博物学者ツュンベルクが持ち帰り,その後バラの改良にも用いられたとか。イギリスの風土とは相性が良かったようで,自生するものも多いようです。花弁をジャムなどにすることができるほか,花後は赤い果実(ローズヒップ)ができ,生食できます。和名のハマナスは「浜茄子」とも書き,この果実が茄子に似ているからという説や,もともとは「浜梨」で(これも果実が梨に似ているから)それが転じてハマナスになったという説があります。名前の通り,海辺の環境を好み,落葉性でよく枝分かれし, 1 〜 2m くらいまで育ちます。英語名はもとが日本の花であることからかはっきりとは決まっていないようで Japanese Rose, Ramanas Rose, Beach Rose, Rugosa Rose 等々さまざまです。 Shore Pear や Sea Tomato と呼ばれることもあるようです。

( 狩野 記 )