ウェールズ花暦 11 月
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Mahonia(マホニア): ヒイラギナンテン ラテン語名: Mahonia
11 月ともなるとさすがに花を見つけるのが大変です。寒い只中にあっても,年が明ければ球根の花や良い香りの冬の花が咲き始めるので,実は11月,12月が1 年の中で最も花の少ない時期なのではないでしょうか。そんな時期,周囲がぱっと明るくなるような黄色い花を房状につけるこの植物は大変貴重な存在です。名前をMahoniaと言います。日本でもお馴染みの木ですね。しかしどちらかというと私が思い出すのはこのみずみずしい黄色の花よりはヒイラギのような葉とブルーベリーのような色の実の方です。ウェールズに来て黄色い花の美しさを再認識しました。筆者の家の窓からに近所の庭の立派なマホニアが見え,花の最盛期には薄暗い夕暮れ時にもそこだけ明るいような感じがします。和名をヒイラギナンテン(柊南天・・・葉が柊に似ており,葉のつき方が南天に似ているのでこの名前がついたとか)としましたが,狭い意味ではMahonia japonicaという種類のみが該当するのだそうです。ただ,現在Mahonia lomarifoliaという種類を元にしたCharityという園芸品種に人気があり,日本でもこの品種がマホニアもしくはヒイラギナンテンという名前で出回っているようなのでこの名前を挙げてあります。 japonica (ラテン語で「日本の」という意味です)なんて名前なので日本原産かと思いきや,中国や台湾,ヒマラヤが原産で,その他に北米原産のMahonia Aquifoliumをはじめとする種類があります。北米種はオレゴンで発見されたのでOregon Grapeとも呼ばれます。Mahoniaという名前はアメリカの園芸家Bernard M'Mahon(マクマホン 1775-1816)から付けられています。イギリスには19世紀初頭に北米から持ち込まれたようです。メギ科の常緑低木で,育つと3〜4mにもなります。花期は長く種類によって11月から4〜5月まで楽しめます。香りも良く,スズランに似た香りがします(ただし花つきの良い園芸種は香りが弱いようです)。花のあとは濃い青色の実が房になって付きます(一応食べられるらしい・・・)。秋から冬にかけて美しく葉が紅葉する種類もあり,こんなにお楽しみの多い植物なのに丈夫で育てやすく,日当たりや土壌が多少悪くても生育するので大変人気があります。
Fatsia(ファツィア): ヤツデ ラテン語名: Fatsia japonica
これも日本ではお馴染みの植物ですね。この記事を連載するようになってから,様々な花を注意してみるようになり,恥ずかしながらこの植物が11月に開花期を迎えることをはじめてきちんと認識しました。クリーム色の花自体はとても地味なのですが,花の集まった形が(植物学的には散形花序というそうです)が花火のようで,可愛らしい。この時期はあちこちでヤツデが小さな花火大会を催しています。今度はjaponicaの名前の通り日本原産でウコギ科の常緑低木。育つと1.5〜3mくらいになり,花が咲いた後は黒い実をつけます。実はFatsiaという名前,ヤツデ(八手)の「8(はち)」という音からきているらしいのです。ラテン語だから深い意味があるのかと思ったら「はち」という音だったなんてなんだか面白いですね。英語名ではJapanese Aralia,Castor Oil Plant, Fig-leaf Palmとも呼ばれます。和名の方は見たまま葉が8つに分かれていて手のようだからですが,本当は7つとか9つに分かれている場合のほうが多いらしい。まぁ「8」は縁起がいいですからね。その他にテングノハウチワ(天狗の羽団扇)という名前もあります。7月のホスタの所でも登場したPhilipp Franz von Siebold(シーボルト 1796〜1866)により1830年代にヨーロッパに持ち込まれました。マホニア同様丈夫で,日当たりや土壌を問わないこと,何よりその葉にとても特徴があり「エキゾチック」な感じがすることから好まれ,多くの庭でよくみかけます。
( 狩野 記 ) |