ウェールズ花暦 10 月
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Virginia Creeper(ヴァージニア・クリーパー): アメリカヅタ ラテン語名: Parthenocissus quinquefolia
この時期,家の壁や塀に真っ赤な葉を滝のようにつけた蔓(つる)性の植物が目を引きます。赤く紅葉する葉と言えばカエデを筆頭に日本にも沢山の植物がありますが,この植物はウェールズに来てはじめて知りました。 名前はVirginia Creeper, 北米原産で名前の通り17世紀初頭にヴァージニア州よりイギリスへ持ち込まれたものです。もともとヴァージニア州の名前は「処女王」と呼ばれたエリザベス1世にちなんで名づけられたもので,ラテン語名のParthenocissusはギリシャ語のParthenos(処女)とkissos(ツタ)という言葉から成っており,「処女のツタ」という意味。ちなみにquinquefoliaは「5枚の葉」という意味です。和名は原産地からアメリカヅタ,もしくはヴァージニアヅタと呼ばれています。ブドウ科多年生の落葉蔓植物で巻きヒゲの先に吸盤があり,Creeperの名前通り支えがなくとも壁を這い上がります。 5〜7月に殆ど目立たない黄緑色の花が咲き,秋に黒い実がなりますが,残念ながら毒性があり食べられません。丈夫で成長が早く,日当たりが悪くてもよく育ち,長さが15m以上になる場合もあります。この種によくにた植物でParthenocissus henryana (英語名:Chinese Virginia Creeper,和名:ヘンリーヅタ)という種類も時々見かけますが,こちらは中国原産で葉脈に沿って銀白色の模様が入るのが特徴です。
Dahlia(ダリア): ダリア ラテン語名: Dahlia
10月になると木々の紅葉は楽しめるものの,花はすっかりなくなって庭は寂しくなるばかりですが,そんな中にあってこの時期まで色とりどりの大輪の花をつけて目を楽しませてくれるのが日本でもお馴染みのダリアです。原産地はメキシコで冷涼な気候を好むキク科の多 年草。 tuber(塊根)を地下に持ち,球根植物として扱われることも多いですが,種を蒔いて育てる種類なども多く出回っているようです。ダリアの名前はスウェーデンの植物学者でリンネの弟子だったAnders Dahl(1751〜1789)にちなんだもので,和名では古くはテンシボタン(纏枝牡丹)やテンジクボタン(天竺牡丹)と呼ばれていました。 19世紀初頭にスペイン経由でイギリスに持ち込まれ,その後「ダリア・マニア」と呼ばれるほど育種交配がブームとなり,多くの園芸種が生み出されました。現在の園芸種は複雑な交配により花色,花の大きさ,咲き方など様々で,ここではラテン語名は属名のみの表記としています。花期も多様で種類によって7月〜11月頃まで楽しめます。さて花は9月までで終わってしまうものの,ダリアの人気園芸種でウェールズにゆかりのものがあるのをご存知ですか? その名も“Bishop of Llandaff”(写真右),カーディフのFred Treseder という育種家により1924年に作られ,当時スランダフ主教であったJoshua Pritchard Hughesという人にちなんで名づけられました。葉や茎は濃い赤紫色,花は鮮やかな緋色で,それらの色のコントラストが目を引く美しい品種です。
( 狩野 記 ) |