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ウェールズのオモシロお宅訪問記

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イギリスで人々のお宅を訪ねると、日本の家には無い素敵な発見があって楽しいものです。住む人のインテリアに対する深い愛着とこだわり、我が道を貫 くといった家づくりと庭づくりのポリシーに感激させられることがあります。専門家でなくとも住んでいる家の建物の歴史をよく知っていて、敬意を持ちながら 好きな趣味を魅力的にそこへ溶け込ませているのです。イギリスでは自分の家は自身の城“An Englishman’s home is his castle!”で、何年もかけてインテリアを自分の好きなスタイルに熟成させていくといわれています。家を買おうとした場合、日本では地震や湿度による 腐食への配慮、機能性、世間への気配りやわきまえを尊重して家づくりをしますが、気候風土の点で建物の寿命が数百年単位で思考されるイギリスの家ではその 古さを尊重しながら、自分の好みを徹底的に住空間に反映させ、その家独自の個性を積極的にインテリアに表現していきます。趣味を反映する収集品などは必ず 人に見せるようにインテリアに取り入れ、住空間のイメージに合わせて美しく統一されています。
今回は、ウェールズの素敵なお宅のインテリアレポートをお届けし、その魅力の秘密を探りたいと思います。

ご 紹介するサウスウェールズのヘレンさんの家は1850年に建てられたコーチハウス(荷馬車を収納するための建物)です。彼女は18年前にこのコーチハウス を買い、年月をかけて彼女流の城へと築きあげてきました。堅牢な造りをした荷馬車の出入りするドア、カントリー風なオリジナルの室内を生かして、”動物と 共存するカントリーコテージ”を実現してきました。


200個!を超えるコミカルな子豚人形のコレクションは各部屋々にしっくりとおさまり、さらにピレニアンマウンテンドッグのチュリーがのっしりと回遊している様は、まさに彼女の目指す田舎のコテージの暖かい雰囲気をかもし出しています。  

そ もそも彼女が現在のような、”子豚人形がいっぱい”のインテリアにした理由は、約10年前に西ウェールズの養豚農家を訪ねたことがきっかけでした。そこは パブもあったため店のいたるところにユーモラスな豚のペインティングや人形が飾られていて、「コミカルな子豚に囲まれたこの空間はなんてこんなに気持ちが 和むのだろう・・我が家もこんなインテリアにしたい!」と影響を受けたからだとか。
そうして子豚の人形、縫いぐるみ、カード、食器、アンティーク・・・と収集を始めていきました。同時にインテリアをさらに農家風にし、子豚コレクションを 共存させる空間づくりを目指していったそうです。幼い頃から動物と暮らしていたというヘレンさん、このコーチハウスを買ったのも、古い時代の荷馬車の家の つくりに感銘を受け、動物を飼っていた当時の様子を想像できたからだといいます。そこでこの建物が持つ1800年代の暮らしを尊重してインテリアを作って いこうと決めたといいます。



そんな彼女のためにDIYを厭わないお父さんはリビングルームに魅力的な古い太い梁と、扉付きの重厚なテレビ台を手づくりしてくれました。テレビを見ない 時にはこの扉が閉じられ、インテリアの大事なフォーカスポイントとなっています。家族や親戚たちの額入りの写真、スコティッシュのシンボルなどが、一番お 気に入りの「木の豚」とともに飾られ、ファミリーの誇りと愛情が示された空間となっています。暖炉の前では大きなチュリーが大人しく座り、エレガントなク ラシック調のマーブル装飾品、ポーセリンのアンティーク皿、コミカルな子豚コレクションなど全てがヘレンさんの個性を主張しながら、暖かい雰囲気をかもし 出しています。



筆者は「こんなにモノがゴチャゴチャ(失礼!)していて、わんちゃんもハムスターも居て、部屋の埃の掃除とかはどうしてるの?」とか「日本だったら大枚を はたいて集めたコレクションをこうやって見せるのは地震が心配でしないけど、たくさんこうして並べていて割れたりする事は考えないの?」などと下世話な質 問をしてしまいました。
すると彼女は信じられないとばかりに目を丸く点にして、「えー!?どうしてそんな事考えるの?」と驚かれ、「チュリーは家族だから身の回りを毎日きれいに するのは当然で、豚コレクションだって縁あって我が家に来てくれたのだから私にとっては大事な家族なんだよー、そのことを自慢するって好い事よね??」と 諭されてしまい、さらにはリビングルームの子豚たち1点1点について、こと細かく美術館キュレーター顔負けの解説を受けるに至りました。



イギリスに暮らしその社会に入っていくとこうした思わぬ生活感覚の違いを学習することが多々あります。インテリアというイギリス人にとっての最もプライオ リティの高いプライベートな世界も、こちらが興味をもって訊ねていくと、日々の生活に新たな発見が生まれ彩りを添えてくれるものです。
ヘレンさんの子豚たちの表情をじっと見つめていると、なぜか心が和みホットするのは、そこに彼女の愛情があふれているからだということがわかりました。そ こには何より、彼女がこの子豚をえらび、自身の家に溶け込ませるようにじっくりと作り上げたという熟成された自信があふれているのです。
ウェールズのB&Bのインテリアにもそうした様子は垣間見ることが多々あります。
きっかけがあれば、何かインテリアの一部について訊ねてみるといいと思います。思わぬ発見と驚きがあると思います。時間に制約が無いことが求められますが・・・。


(ミマ・ナック記)