小野マリ---英国ナショナル・トラストを学ぶ
第9回
Hanbury Hall
ハンブリー・ホール/ウスターシャー
パズルのようなフォーマル・ガーデン
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日
本ではソースで有名なウスター。その名の発祥の地でもあるウスターシャーは中央イングランドの西に位置しています。カーディフからは車で一時間半ほどの距
離です。ウスターの街は美しいカテドラルを中心に、由緒ある競馬場やナロウボートが行き交う運河が流れ、イギリスらしい歴史的情緒が溢れている素敵な街で
す。その街から車で30分ほど田園地帯をドライブすると、今回ご紹介するハンブリー・ホールがあります。
英
国は日本でいえば樺太よりもさらに北緯にあり、さぞ寒いのではないかと想像されがちですが、近海に暖流が流れているおかげで意外なほど寒くありません。ま
たこの時期は1年を通してもっとも雨の多い季節となるため、その湿気のせいでしょうか、ガーデンの芝生は真冬でも青々としています。
そしてこの時期、英国のガーディナーたちは大忙しです。落葉した葉を拾い集めるのはもちろんのこと、早くも来年のガーデン計画にそって芝の入れ替えや、花
の植え替えが始まります。 春から夏にかけて楽しんだ、玄関先の寄せ植えやハンギングバスケットなども、コンポストへ直行、新たに植え直すのが、まさに今
の時期。ガーデニングセンターやマーケットには春先の球根や苗が大人気です。
10月の終わりに夏時間から冬時間に切り替わる、つまりは時計を1時間バックさせてからは、日に日に日照時間が短くなるために短時間での集中作業です。私
が以前住んでいたコテッジのオーナー夫妻もなんと11月の大雨の日に新しくデザインしなおしたガーデンのために芝の入れ替えをしていました。「こういう雨
の日がグッドコンディション
なんだ。」と大張り切り、ガーデニングにかけては実にタフな英国の人々です。
さ
て、本題のハンブリー・ホールは18世紀を代表するマナー・ハウスとジョージ・ロンドンによってデザインされたガーデンで構成されています。ガーデンの中
心は18世紀初期のフォーマル・ガーデンを再現したもの。その中には幾何学的にレイアウトされた花壇パルテールが地面よりも一段低い位置に配されていま
す。屋敷のベットルームからもっとも美しく見えるようにデザインされたその花壇は4000本以上のツゲの低木で仕切られています。そして、四季折々に合わ
せてまるでパズルのように季節ごとに花々を植え変えているので、春夏秋冬、訪れてみたくなります。特にこれからはクリスマス・シーズンに向けて、金色の飾
りをつけた低木がなんとも可愛らしい雰囲気をかもしだしてきます。
その他にも素敵な吾妻屋とボーダー・ガーデンが楽しめる前庭。レンガ造りの立派なオレンジ栽培のための温室と果樹園。300年以上前のヒマラヤスギがある
並木道「シダー・ウォーク」、そしてその奥には歴史的建造物でもある18世紀のアイス・ハウスがあります。冷凍庫などなかった昔のマナー・ハウス(貴族の
お屋敷)には、貯蔵や氷造りを兼ねた大型のアイス・ハウスを敷地内に持っていました。このアイス・ハウスで出来る氷は約24トン。夏には自家製氷がティー
ルームでも味わえるようです。
英国ナショナル・トラストでは秋から冬にかけてクリスマスを中心に様々な催しものが開かれます。ウィンター・ガーデン・ウォーク、クリスマス・フラワーア
レンジ教室、ガーデンでのクリスマスキャロルなどなど。カレンダーに印しをつけながら、わくわくする季節がはじまります。
Information
School Road, Hanbury, Droitwich Spa, Worcestershire WR9 7EA
Telephone: 01527 821214
http://www.nationaltrust.org.uk/main/w-vh/w-visits/w-findaplace/w-hanburyhall/
小野まり
NPO法人ザ・ナショナル・トラストサポートセンター及び英国ナショナル・トラスト日本人会代表。著書に「お茶しませんか?英国で-ザ・ナショナル・トラスト ガーデン&紅茶の旅」(青春出版)などがある。
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