KenのWales 便り - No.27 " ♪Boletus edulis♪"
>>> メニューページに戻る 岡本賢一
この前の「Food festival」の話には、予想以上の反響があった。こんな写真は見たくない、気持ちが悪い、で始まり、日本ではマグロ一頭の解体は抵抗なく見られるのに、動物となるとまったく話が違って、違和感がある、不思議なもの、といったものがほとんど。ちなみにこちらの人に、日本でのマグロ1頭の解体の話をしたら、そんなものは気持ちが悪い、見たくもないと、顔をしかめてしまう。
やはり歴史的に、狩猟民族と、野菜や魚を主食にしてきた農耕民族との違いがこんなところにも出てくるのかなと漠然と考えた。そこで罪滅ぼしというわけではないが、今回はきのこの話。10月末、きのこ狩りには少し遅いものの、今年は異常気象で例年になく暖かいので、きのこ博士の誘いに乗って、淡い期待を持って出かけてみた。
車で30分、目指す山に到着。 場所はTaly-bont on Usk。友人のきのこ博士、普段はあまり山歩きは好きでないようで、歩きながら文句ばかり言う。それでも、近くの山を2時間ほど歩いて下山し、途中から、川沿いの林の中に分け入りきのこ狩りとなった。山を歩いている際には、ぐずぐず言いながら歩いていた博士も、にわかに元気になりどんどん急な林を歩いていくではないか。気候が温暖であったためか、きのこは数こそ少ないが、まだまだあった。素人3人はその辺のきのこを見ると、食べられるかなといいながら袋に入れていった。
ふと気がつくと博士の姿が見えない。きのことなると夢中になり、我々のことなど眼中にないのであろう。一般に、こちらの人に、どうしてあなたたちはきのこ狩りをしないの、とたずねると、きまって、私はまだ死にたくないという。 きのこは大好きでもきのこ狩りする人は少数派ということであろう。 スーパーでは、普通のMushroomのほかにCrimini や Flat そして日本のしいたけ、えのき、シメジなどがある。たまにWild mushroomもあるがめったにはない。 見識がないと日本でも同様で危なくてだめということ。ともするうちに、きのこ博士、興奮しながら下りてきた。見ると手に大きなきのこを抱えている。 かさの直径が15cmくらいある。 これが「King of mushroom」だよ、と得意そうにいう。 なんという名前か?と聞くと「Boletus edulis」だ、という。聞いたこともない名前で、ぽかんとしているとこれはラテン名だよと、さりげなく言う。 そういえば、何かの本で英国の物知りは、動物名や植物名をラテン語でさりげなく言うのが暗黙のうちに尊敬される要素であると、読んだことがあるが、実際に目の前でやられて、こういうことかと理解した。
それにしても「Boletus edulis」では素養のない私には何がなんだか解らないので、一般名はあるのかと聞くと、ああ、一般には「Cep茸」と呼ばれているという。 何だ「Cep茸」ならフランス料理などに良く使われているではないか。早くそれを言えと内心思ったが、それにしてもずいぶんと大きなCep茸。こんな大きなものは初めて見た。博士いわく、これはまだ小さいほうで、中にはかさの直径が30㎝位のものもあると。もうこうなると、素人がかき集めた小さいきのこはどうでも良くなって、「Boletus edulis」を探そうとなったが、どっこいそうたやすくは見つからず結局この日は博士の1本で終わってしまった。この後、きのこ博士の奥さんの料理で、ワインときのこを楽しんだこというまでもない。 2006年11月中旬

大きな「Boletus edulis」傘の直径15cm以上 |