ウェールズ花暦 5 月
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Common Lilac(コモン・ライラック):ムラサキハシドイ ラテン語名:Syringa vulgaris
4月の下旬頃からいつのまにか白や紫の花を房状に咲かせ,甘い芳香をあたりに振りまくこの花,「ライラック」もしくは「リラ」という名前の方が 馴染み深いかもしれません。5月の爽やかな青空に良く映える,イギリスの初夏を代表する花です。紫といってもかなり赤みの強い濃いものから藤色のような青みがかった薄いものまでバラエティーに富んでいます。ヨーロッパ東部から中央アジア原産の,高さ3〜6mになるモクセイ科の落葉小高木です。和名のムラサキハシドイ(紫丁香花)という名前は同じモクセイ科のハシドイ(枝先に花を密に咲かせる為「端に集う」が語源になっているとか。花は白色)に似た花で紫色だからということだと思いますが,紫丁香花という当て字は美しい。Lilacの名前は「青みがかった」を意味するアラビア語のnilakの変化したものだとか,ペルシア語のlilakだという説があります,また属名のSyringaはギリシア語のsyrinx(ギリシャ神話の中で牧神のPanに追い詰められたSyrinxというニンフが葦に姿を変え後に葦笛となった)に由来し,管や笛という意味があります。我が家の庭にも薄い紫のLilacがあるのですが,実はこの植物は吸枝(Sucker)で増えます。気がついたらにょきにょきと枝が地面から生えてきて,「これは一体何だろう?」と思っていたら今では親の木と同じ葉がでています。ほっとくと庭中Lilacだらけになってしまうと思い(まぁそれはそれで素敵かもしれませんけど),せっせと剪定しないと!vulgaris(「よくある」「普通の」という意味)という名前のついている植物というのは大概生命力が強く,丈夫で育てやすいのは良いのだけれど,「増えて増えて仕方がない」という落とし穴もあるようで・・・,困ったものです。
Meadow Buttercup(メドウ・バターカップ):セイヨウキンポウゲ ラテン語名:Ranunculus acris
以前読者の方から「いつか野辺のCampion, Buttercup, Cow Parsley, Teaselなどもとりあげてください。」というメールを頂いたことがありました。今回やっと1つ紹介することができます。特に珍しい花ではないので調べることはたやすいのですが,なかなか良い写真が取れなかったのです。というのも,我が家の周辺は牧草用に草は刈られてしまうことが多く,花が咲き乱れる草原というのがあまりありません。道端の雑草地帯にぽつぽつ生えていることもないではないのですが,やはり群生している写真が欲しいと思い,のびのびになっていました。Buttercupには根が球根になるBulbous Buttercup(草丈40cmくらい,花期は4〜6月)や背が低く広がるタイプのCreeping Buttercup(草丈は10cmくらい, Buttercupには,花期は5〜8月)など数種類があり,実はCreepingの方なら家の芝生にたくさん生えているものの(本当はそんな芝はよくないのですけど・・・),メールを頂いた方のイメージとはちょっと違うように思ってこちらも却下。先日DevonのKillertonという屋敷にいった際,そこの庭にRed CampionやButtercupが咲き乱れており,ようやくなんとか満足のいく写真をとることができたのです。さて前置きが長くなりましたが,Meadow Buttercup,Ranunculus acrisはキンポウゲ科の多年草で,ヨーロッパ原産。草丈は70cmほどになります。イギリスにも古くから自生していたようです。日本でミヤマキンポウゲ(R. acris var nipponicus)と呼ばれているものは同じ品種の1変種で,植物としてはほとんど同じなのですが,Buttercupの方は帰化植物としてアクリスキンポウゲやセイヨウキンポウゲ(西洋金鳳花)と呼ばれているようなので今回はこちらの呼称をとりました。毒性がありますが,古くは薬としても用いられていたようです。Ranunculusはラテン語でrana(蛙)+culus(「小さい」という意味の接尾辞)つまり「小さい蛙」という意味で,蛙がいるような湿った場所を好むことにちなみます。acrisは「先のとがった」という意味。古くから親しまれてきた花だけに伝承も多く,一番有名なのは「牛の乳房にButtercupこすりつけると良い乳が(黄金色のバターが)取れる」というものです。
( 狩野 記 ) |