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現地校を訪問して ( Maes yr Haul Primary School )

田口知子

 Maes yr Haul Primary School最初に International Educators to Japan というプログラムについて、ご紹介します。これは日本人子女が通っている現地校の教師を、日本視察研修旅行に派遣するプログラムで、 1975 年にロス・アンジェルスの南カリフォルニア日本ビジネス協会によって、始まりました。その意図は、日頃日本人子女がお世話になっていることへのお礼と日本に対する理解を深めてもらうことにありました。この活動がアメリカからカナダへ広がり、 1994 年に英国が、そして 1996 年にオランダも加わりました。これまでに932名の現地校教師または教育関係者を、日本に派遣して来ました。主催は JETRO (日本貿易振興会)で、参加費用は地元の日本人会が全額負担します。

 ウェールズ日本人会では、 1995 年から15名(カーディフ地区5名、ブリッジエンド地区4名、ニューポートとスウォンジー地区各3名)の現地校の校長先生を派遣しました。昨年は、参加が見送られましたが、今年度はブリッジエンドの Maes yr Haul Primary School のマーニー校長先生 (Mrs Mahoney) が6月28日から7月13日まで日本に行く予定です。5月21日、マーニー校長先生が、同僚の先生お二人と一緒に本校を見学に来てくださいました。現在、 Maes yr Haul Primary School に通う日本人児童は11名います。授業中の教室へと案内すると、自分たちの現地校の先生方を見て、児童は大変びっくりしていましたが、先生たちに質問されると、ノートに書いている内容をきちんと説明していました。またマーニー校長先生からは、生徒達の授業態度がとても良いとほめていただきました。

Maes yr Haul Primary School そして、5月27日、今度は私が Maes yr Haul Primary School を訪問しました。この日はプリチャード美登里さんが作られたパッチワークの壁飾りのお披露目をかねた特別の集会があるとのことで、とても楽しみでした。この学校は、新興住宅地にできた創立4年目の小学校で、新しい校舎がとても印象的です。この日は、招待を受けた日本人子女のお母様方の他に、補習校からは、松井学校参与、南出講師、この学校で平日に何時間かバイリンガルサポートをしているハリス講師も、集会に参加しました。

 集会は、高学年児童の「宇宙」についての発表から始まりました。全員が役割分担をし、惑星について低学年にも分かりやすく、動作やカードを使って説明していきます。太陽、月、地球に扮した3人の児童が、実際に公転、自転を実演してみせてくれました。また月面着陸成功のエピソードをBBCのアナウンサーや、月面に着陸した宇宙飛行士に扮した児童が、伝えてくれます。最後に、太陽系の仕組みをラップで紹介し、発表は大成功。発表後の校長のコメントが、ただほめるだけではなく、「一人一人の存在が大切です。みんなで学びの場を作って、これからも考え合っていきましょう」という言葉に、感動を覚えました。一人一人を心から大切に思っているということが、とてもよく伝わってきました。

Maes yr Haul Primary School そして、いよいよ壁飾りのお披露目です。着物姿のプリチャードさんと校長先生とで、ひもをひくと、壁飾りを覆っていた布がスルッと下に落ちて、見事な壁飾りが現われました。日英友好の願いを込めて、プリチャードさんがデザインし、布などの材料捜しから約5ヶ月をかけ、18人の子供達も作成に携わって作られた物です。

 デザインはテーマに沿って、ウェールズと日本の出会いを抽象的に表現しています。ハートで作られた桜の花びらが、ウェールズの自然の緑の中(谷、小川、山の小道など)を軽やかに踊りながら舞い上がり、そこにウェールズを代表する水仙が咲き誇っている情景で、季節は春、希望と愛に満ちあふれた季節です。プリチャードさんが心をひかれているウェールズの伝統的なケルト模様が、5つの円の中と壁飾りの四方に施され、扇は友情と繁栄を示し、中央のハトは、世界平和への祈りを象徴しています。少し距離をおいて見てもらったら、一匹のウェールズのドラゴンに見えるのが不思議でもあり、嬉しい偶然であるとプリチャードさんは語っていました。

Maes yr Haul Primary School すばらしいデザインとできばえです。見る人の心を温かくしてくれる本当に素敵な壁飾りだと思いました。集会場の壁を何かで飾りたい、できればテーマを East meets West として、ウェールズと日本が組み合わされたデザインにしてもらえれば、というマーニー校長の全く偶然の思いつきによる提案に、日本でデザイン関係の仕事をされていたプリチャードさんが意気投合され、心と魂を注ぎ込んで創作されたのだそうです。プリチャードさんの壁飾りは、日英友好のシンボルとして、きっといつまでもこの学校で大切にされていくことでしょう。プリチャードさんの挨拶の言葉に、子供たちも心から聞き入っているようでした。子供たちの心の中には、プリチャードさんの友好への熱い思いが、刻まれたことと思います。

 さらに、ピースメーカー賞がコース修了者に渡されました。これは、けんかやもめ事を子供たち同士で、うまく解決していく方法を学ぶコースで、校内の平和を守る役目を担っています。続けて、科学クラブのゴールド賞が、3人に授与され、一人ずつどんな実験を行ったか説明しました。教頭先生のサポートで、布の染色や肥料の実験など、かなりハイレベルなことをやっていて、すばらしい成果だと思いました。

 最後はトランペットの演奏です。日本人になじみのある「ちょうちょ」のメロディーも登場し、一生懸命な姿がとてもほほえましく感じられました。

 集会の後1時間ほど、校長の案内で各教室の見学をし、午前中の訪問は終わりました。

マーニー校長先生は「日本人の子供たちは、驚くほど手先が器用だ。その器用さがどこから生まれるのか、個人的に大変興味がある。日本視察で、その答えを探ることができたらと期待している。初めての日本行きがとても楽しみだ」とおっしゃっていました。2週間の滞在は、東京・奈良・愛知の学校訪問、愛知博、奈良と愛知でのホームステイ、お寺や工場(日本酒と自動車)の見学、文化交流と、盛りだくさんの内容です。ハードスケジュールですが、日本で過ごす時間が、有意義で楽しいものになりますように。

Maes yr Haul Primary School