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第16回 福井 恵さん こんにちは


1イギリスの滞在期間

私は1歳から18歳までイギリスで暮らしていて、補習校では小学年1年生から中学三年生まで
 
お世話になりました。

 2 帰国してから    

 

  私はイギリスのハイスクールを卒業し、2003年の夏、日本に帰国しました。
 「帰国」・・・とはいっても私はそれまで一度も日本に住んだことがなかったので(私はドイツで生まれて、
  それ
から18歳までウェールズで育ちました)自分の心境としては「帰国子女」というよりむしろ
 「来日子女」でし
た。日本には旅行でしか訪れたことのなかった当時の私にとって、日本は「母国」
 ではなく「母の国」という存在で
したが、そもそも私が長年慣れ親しんだイギリスを去り、日本の大学
  に進学することを決めたのは、主に二つ理
由があります。まず一つは、両親の国である日本について
  もっと知りたいという純粋な好奇心が沸いたこと、そして二つ目は今
まで経験したことのない未知の
  環境で、自分を試してみたいという気持ちがあった
からです。実際、日本での生活は今まで私が経験
 したことのないようなチャレンジでした。
 私はイギリスにいたとき統一試験のA-levelLawを専攻し
 ていて法曹界に関心があったということもあり、慶應義塾大学の法学部政治学科に
入学しました。 
 しかし、最初は日本語が難しすぎて、ほとんど授業が理解できず(高等部まで補習校通っていた
らよか
 ったかな、と少し後悔しました。)
 
頭の中で先生の言っていることを電子辞書を片手に英訳しているうちに授業が終了している、なんて
 いうことが何ヶ月も続きました。

 
勉強面だけでなく、日常生活におけるカルチャーショックにも、戸惑いだらけでした。
  先生が授業中に「何か質問はありませんか」と聞いてくれているのに、なぜ授業が終わるまで誰も質問
 をしないのか、なぜ友達は「イエ
ス」か「ノー」かはっきりせずに、全てのことを「ビミョー」と言って
 曖昧に済まそうとするのか、なぜサーク
ルでテニスの練習をする前に、コートに挨拶をしないといけない
 のかetc.etc、私にはわからないことばかりでし
た。あまりにもわけのわからないことの連続で、逃げ出
 したいと思うこともよくありました。「私、もうイギリス
に帰る!!」と勢いでスーツケースに荷造りを
 し始めたことも一度や二度ではありません。笑

 

3近況    

 

  元々は日本で大学生活を終えたら、すぐイギリスに帰ってくるつもりでした。でも、最初はあまり
 馴染めなかっ
た日本に何年か住んでいるうちに、この国の良いところを色々と発見し、日本がとても
 好きになりました。
単純に「日本の食事は美味しい」とか「交通の便が良い」とか「文房具がカワイイ」
 といった類のこと以上に、
日本で生活することによって異文化の違いに「正しい」も「間違っている」
 もなく、ただ「違う」だけだという
こと、「wrong」ではなく「different」なだけだということを体験学習
 できたことが、私にとって大きな意味があ
りました。

(例えば、私は以前「日本人は思ってることを言わない」「表面的に礼儀正しいけど、内心なにを考え
 ているか理
解不能だ」と思っていました。しかし今なら、日本は「あうんの呼吸」や「以心伝心」
 といったことで、コミュ
ニケーションが成り立つのだということを知っています。相手と状況にも
 よりますが、「直接的に意思表示をする
こと」と「間接的に意思表示すること」をそれだけで比べた
 ときに、どちらが「正しい」なんて答えはどこにも
ありません。

  以前は、間接的に自分を表現したり、他人の意思を読み取ったりするのが、非常に苦手でしたが、
 今は多少は慣
れてきたため、日本特有のとても繊細で美しい文化だと思えるようになりました。)
 そして「different」である日本についてもっともっと知りたいと思うようになったので、就職はまず
 日本でするこ
とに決めました。というわけで今年の春、大学をめでたく卒業し、4月から外資系のIT
 企業で働いています。つい先月までは3
ヶ月間研修を受けていたのですが先週、金融ソリューション事業部
 という部署に配属が決定されました。
 まだ右も左も分からない状態ですが、先輩について色々と会社の
  業務について勉強しています。

 
今後、将来的にまた海外で生活をすることがあると思うのですが、今のところはもっと日本で社会人生活
 をし、
キャリアの専門知識を深めつつ日本について勉強したいと思います。まだ駆け出しですが、一人前
 目指して頑張
ります!

 

4後輩へのメッセージ   

  きっとみなさんはイギリスに住んでいて、土曜日には補習校に通っている、ということでイギリスと日本、
 二つ
の文化を持っているのでしょう。(ご家庭によってはもっと色々な文化を持っているかもしれませんね)
  たまに、二つも文化があるなんて面倒くさいとか大変だと思うことがあるかもしれません。(日本の勉強も
 イギリ
スの勉強も両方しないといけないし、サッカーのワールドカップでもどっちのチームを応援したら
 いいのか迷い
ますよね?)確かにそういう一面もあるかもしれないけれど、全体的に見てみると絶対両方
 あったほうが楽しいです。

 その
が自分の世界が広くなって、幸せ度数もその分2倍になると私は思います。バイリンガルの方が
 モノリンガルよ
り多くの人と会話ができるし、笑いのツボも2つあったほうが笑う確率が増えるし、
 友達も色々な国にいたほう
が楽しいです。なので「イギリスにもう住みたくない」と思ったり、逆に
 「日本語の勉強をするのなんてもう嫌だ」と思ったり
しても、そんなこと言わないで今という時間を大切に
  して下さい。英語も日本語も思いっきり勉強して、色々な
友達をたくさん作って遊んで、後悔しない毎日を
  送ってください。きっと将来「よかった」と思う日が来るはず
です!応援しています。

  そして先生方へ。

  今年(2008年)の3月にイギリスに里帰りしたときに、補習校を久しぶりに訪問させていただきました。
 私にと
っては9年ぶりの補習校で、その日は丁度卒業式の日でした。とても懐かしい気持ちになり、
 大変お世話になっ
た先生方とも再会でき嬉しかったです。色々な方とお話をしているうちに、「自分が
 卒業してから長い年月が経っ
たけれどやっぱり私の原点はここだな」という気持ちになりました。
 補習校に通っていなければ今の私はありえ
ないと強く感じます。今まで本当にありがとうございました!