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2008年、最もうれしかった学校ニュース
松井みどり先生の「春の叙勲」ご受章
日本に一時帰国中の松井先生から、帰英日が一週間延期になったというメールをいただき、春のご受章のことは内内にお聞きしていました。その時は、外務大臣賞、エリザベス女王からのMBEに続き、ついにこの日がやってきたのだなあと、比較的平静に受け止めていましたが、4月29日付けの新聞に、松井先生のお名前を見つけた時は、心が奮い立ちました。
新聞には一面全体に「春の叙勲」という見出しで、国内の主な受章者と海外関係者の氏名が、肩書きと年齢と一緒に、紹介されていました。在外邦人の部では、15人の方のお名前がありました。そのうち、旭日双光章受章者は9人で、松井先生がそのお一人でした。
肩書きには、「ウェールズ日本人補習授業校参与」とありました。こんなふうに本校の名前が登場するとは思いもしなかったので、松井先生ご自身のご受勲が、「身内」の栄誉に感じられ、喜びが倍加されました。会社は既に定年退職されているので、「元英国タキロン取締役」という肩書き(タキロン社は、ウェールズに進出した日本企業の第一号)ではなく、現職名の「ウェールズ補習校参与」になったのだと思いますが、学校関係者としても誇らしい気分でいっぱいになりました。
松井先生ご自身も、これは補習校の存在が認められたことになり、栄誉を補習校の関係者たちと分かち合うことができると考えられ、とても喜んでいらっしゃいました。「参与」として、松井先生は全くのボランティアで補習校のために力を注いでくださっています。日英友好と文化交流への貢献だけでなく、長年補習校を支えてくださった働きも認められたのだと思えたことが、とてもうれしかったです。
松井先生は、補習校創立当時から、フルタイムの会社のお仕事に加え、日本語のイブニングクラス、ボランティアでの日本文化交流活動などを続けてこられました。定年退職された今も、お留守のことが多く、忙しくされていますが、以前から時間のやりくりを一体どのようにされているのか、不思議でたまりませんでした。おまけに、余暇にテニスやダンスをされる時間も、確保しておられました。ある時、早起きが苦にならないという話をお聞きし、なるほど睡眠時間の差であったのかと、さらに頭が下がりました。日本から企業招聘された校長先生のサポート役として、長年教頭職を務めてこられた松井先生は、神奈川県藤沢市の公立中学校で英語の先生をされていました。2,3年おきに校長が替わる中で、補習校の継続性が維持されたのは、松井先生の存在があってのことです。
5年間一緒に仕事をさせていただいた後、松井先生が、会社の仕事で出張する機会が増えた為に、補習校の講師を退任されることになりました。補習校にとって松井先生は欠かせない人材であると思われたのでしょう。三代目校長の芳賀利正先生が、松井先生に「学校参与」の役職を作り、これからも補習校のことを助けてほしいと望まれました。「役職などなくても、必要な時は、お手伝いしますから。」と笑いながらおっしゃっていた松井先生。あの時は、私自身あまり気に止めていなかった役職名ですが、その後の補習校の運営における松井先生の存在の大きさを思うと、松井先生を補習校につなぎとめた芳賀先生の先見の明のすばらしさに、感嘆します。そして、今回のご受勲で、「参与」の名前がみごとに生かされました。もしかしたら芳賀先生は、ここまでお見通しだったのでしょうか。
さて、皇居での叙勲記念式典が終わると早々に、松井先生が帰英されました。その日を待ちかねていた私は、松井先生に朝会で子供たちと保護者の皆さんに、お話をしてくださるようにお願いをしました。松井先生は、「いつも皆さんが卒業証書をもらう姿を見ていましたが、自分が賞状をもらう機会に出会うとは思いもしませんでした。右手左手と手の動きから気をつけて練習しました。皆さん、こういうことはしっかり習っておくといいですよ。」と最初に笑いをさそいながら、勲章と賞状を披露してくださいました。賞状には、中央に天皇陛下の璽印がおされています。もちろん初めて見る印(はんこ)です。勲章は、赤と緑が鮮やかで、とてもきれいなデザインでした。
ご家庭で、あるお父様が「どんな勲章なのかな」と言うと、「ぼく、学校で見せてもらったよ。」と瞳を輝かせて、報告してくれたというお話も、耳にしました。子供たちも、自分たちの先生が、天皇陛下から勲章をいただいたことを、とても誇らしく感じたことでしょう。そして、忘れられない出来事になったに違いありません。
補習校の関係者やウェールズに住む日本人たちにとって、大変名誉で幸せな出来事でした。松井先生、すばらしい生き方を見せてくださって、ありがとうございます。これからも私達みんなの温かい灯となって、人としてのあるべき道を示していってください。
ウェールズ補習校で一番長い保護者として
土山知子
今年度の補習校にとって一番の慶びは、ウェールズ補習授業校参与の松井みどり先生の旭日双光章のご受勲でした。松井先生の長年にわたるウェールズでのご功績とご尽力が、日本国政府から認められ、春の叙勲受章者になられたことは、ウェールズ補習校にとってこの上ない名誉であり、誇りでもあります。
また、2000年には、エリザベス女王から大英帝国勲章のMBE、Member of the Order of the British Empireをご受勲され、松井先生のご功績は英国からも称えられていました。
松井先生は、1981年の補習校創立当時から補習校に関わり、それだけでなくウェールズにやってくる日本人のお世話をいろいろして下さいました。同時に、ウェールズと日本の架け橋の役目を果たされました。これらのご活躍により、2003年にはカーディフ大学よりHonorary Fellowship (名誉学友)を授与されました。
このように書いて参りますと、松井先生はとても近寄りがたい方のような印象になってしまいますが、ご自身は大変おだやかでお優しい気さくなお人柄で、保護者をはじめ皆から慕われていらっしゃいます。11年前に、私が初めて補習校に参りました頃は、松井先生は私にとっては、それこそ「雲の上のお方」のようでした。「よく存じ上げないけれど、偉い方らしい」という印象をしばらく持っておりました。それが学校内でお目にかかるたびに挨拶をし、その内に少しずつお話をさせていただく機会ができてきました。緊張して直立不動の私!に、松井先生はいつでも長年の知り合いの如くお優しく接してくださいました。滞英年数を重ねるにつれ、松井先生のご活躍、ご尽力が具体的に見えてくるようになり、さらに感謝の念がふくらんできました。補習校のために数々のお仕事、例えば、ウェールズ地方行政との交渉、補習校資金援助の可能性の探索、ウィッチャーチハイスクールとの校舎借用契約等、保護者の目に触れにくい裏方のお仕事をすべてボランティアでしてくださっています。
また、今でも子供達の授業に代行の先生として入ってくださったり、授業の特別ゲストとして来て下さったり、子供達にも松井先生は身近な先生でいらっしゃいます。娘が中1の時、国語の授業で戦争について学ぶ機会がありました。その時、松井先生はゲストとして授業に出てくださり、戦時中のお話をしてくださいました。授業参観日でしたので、保護者も参加して先生の貴重な体験談を聞くことができました。このように松井先生は、皆の目に触れる触れないにかかわらず、無償の愛情を持って、補習校を支えてくださっています。松井先生が補習校のために裏方のお仕事をしてくださっていることは、保護者として本当に有難く、頭が下がる思いでいっぱいです。その上、公的なご活躍ばかりでなく、病気の人の通訳として一日中病院に付き添われたり、渡英間もない不案内な日本人の奥さんを買い物に案内してくださったりと、困っている人にさっと手を差し伸べ、支えてさしあげる、まさに松井先生の偉大さはそういうところにあるのではないかと、思っています。松井先生へ私は一保護者として、感謝の気持ちを申し上げるとともに、この場をお借りして、改めてご叙勲受章のお祝いを申し上げます。(2008年12月)


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