|
>>>メニューページに戻る はじめにウェールズ補習校 校長 田口知子 ウェールズ日本人会が、1995年以降日本視察研修プログラム( JETRO 主催)に派遣してきた現地採用校長は、メイニー校長先生で16人目となります。日本人会の提案で、今回初めて補習校で報告会を行いました。10人ほどの保護者に加え、中休みには教師達も数名集まりました。日本視察研修の感想を直接派遣校長から話を聞くことができて、とても有意義でした。 日本人会の山田運営委員長さんからも、次のようなコメントをいただきました。 「財務状態が良ければ、毎年でも日本への派遣を考えたいところですが、二年に一度が精一杯の状態なので、可能な限り続けられるようにしたい。今回の報告会は、初めての試みであったのですが、異文化交流という側面も持ち合わせており、参加者にはさらに親しみやすかったのではないでしょうか。一期一会をプレゼンの表紙に持ってこられたのは、非常に印象が良かったと思います」 メイニー校長先生は、鋭い洞察力と教育者としての視点から、実に中身の濃い報告をして下さいました。出発前から、「とても楽しみだ。日本にいる時間の全てを大切にして、多くのことを見てきたい」とおっしゃっていたように、本当に意欲的に「日本」を見て来て下さいました。自分が学んだ多くのことを自校の子供達とも共有したいと、朝会で毎回一つずつテーマを選んで、お話をされたそうです。また日本人のお母様方の協力を得て、一週間の「ジャパンウィーク」も実施されました。この中に俳句コンクールもあり、審査員としての協力要請があり、私も子供達の俳句を楽しく読ませていただきました。 メイニー校長先生は「英国人児童が喜んだのと同様に、日本人児童も自国の紹介をすることで、喜んでいた。両者にとって良かった」と、本プログラムの成果をいろいろな手段で活用して下さり、私達のほうこそ感謝の気持ちでいっぱいになりました。 プレゼン最初のICHIGOICHIE(一期一会)の言葉にも、とても心が動かされました。画面が次に移ると、花のように鮮やかな色がパッと目に飛び込んできました。それは、小学校の傘立ての傘でした。梅雨の時期で、カラフルな子供達の傘に目が奪われたのだそうです。美的感覚もすばらしいと思いました。 後の質疑応答で、私が印象的だったのは、「日本の子供は子供らしい。英国の子供の子供達は、ディスコで大人びた服装をしてきたり、親の方も早く大人になるようにしつける。日本の子供は子供っぽいというのではなく、子供らしくしていられる」というコメントです。「遊びもコンピューターなどが主流で、英国では手遊び歌はすっかり廃れてしまってい る。また日本では習字や食事のおはし、幼稚園での折り紙など、日本の子供達の手先が器用(絵が上手、鉛筆の持ち方が良い)になる背景が分かった気がする」とおっしゃっていました。 報告会には本校の高校生も一人、お母様と一緒に出席していました。「現地校の友人を日本に連れて行く予定だが、6月末の気候と日本のお風呂は大丈夫だろうか」と質問すると、「蒸し暑かったが毎日が新鮮で、あまり気にならなかった。建物内で履き替えるスリッパは、素足だとすべりやすいので、ソックスを持っていたらよい。服は綿のTシャツなどが良い。お風呂は西洋人には熱いかもしれない。日本人とは体温が違うから」と回答してもらって、安心した様子でした。 他に、宗教的な理由などで食べられない物があったか、通学時や学校における子供の安全についての質問が出ました。私が愉快に思ったのは、「飛行機の中で、前のスクリーンにエクササイズをする人が映ると、周りの日本人はそれを見てちゃんと体を動かしていたのが印象的だつた。英国人だとはずかしく思ったりして、しないものだけど」というコメントです。日本人は、ハーモニーを重んじるという言葉通り、みんなで何かを一緒にすることには物怖じしないということでしょうか。 最後に、「日本のウォシュレットなど、街中のテクノロジーの発達にはとても驚いた。その反面、学校では英国ほどコンピューターが多くなく、パソコン直結型白板も見なかった。この落差がどうしてか、不思議だった」というコメントがあった。教育現場でのIT導入は、英国の方が進んでいるようです。 メイニー校長先生のお話に、新たな日本の一面を知ることができ、とても興味深かったです。 【訪日レポート】 Journey to Japan June/July 2005 Pam Mahoney 他の国を訪問するという事は面白く、楽しいものです。他の国を訪問し、その国の人々から親切で丁重にしっかりとお世話していただき、私たちがそこで経験することやその国の文化・社会について理解を深められた事は非常に貴重な体験となりました。 今回の私の旅はウェールズ日本人会の方々によるカーディフでのオリエンテーションからスタートしました。日本人会の皆さんは日本の料理や食事の際の作法だけでなく、私が日本のエチケットや習慣について、特にホストファミリー宅に滞在するときに私がそれにうまく従う事ができるよう、非常に役に立つ情報を教えて下さいました。ホストファミリーは私がスリッパをはきかえる事を覚えた事を知り喜んでくれるでしょう。 私が空港で諸見さん (JETRO) の奥様にとても暖かく出迎えていただいた時、私はとても歓迎され、教育者として尊重されていると感じました。 UK の教師が普段あまり感じる事のない感覚でした!私はこのプログラムを準備された JETRO のスタッフ、ボランティアの方々、そして彼らの微に入り細にわたる準備に対し非常に感銘を受けました。彼らは皆、とてもよく私たちをサポートしてくださいました。諸見さん夫妻とスタッフの方々はとても忍耐強く寛容に滞在中ずっと私たちをお世話してくださいました。 私たちは日本の社会と教育システムについての一連のレクチャーを受けました。 個人の成功よりも集団の成功に重きを置き、雇用される側・する側双方が互いを大事にするという考え方は、それが昨今変わりつつあるとはいえ大変興味深いものでした。調和する心の重要性が強調されていました。即ちチームワークと互いを支えあう事による調和です。私は今回の訪問で行った先々で色々なものの調和を見ました。それはシステムに見ることができる社会的調和、自然との調和、私がホームステイや神社仏閣への訪問を通じて見た日本の建築物や芸術品、私が素人なりに一生懸命挑戦し、とても綺麗にできたいけ花や茶道においても調和を感じました。 “Survival Japanese” の授業は非常に楽しいものでした。ウェールズ語のアクセントを持つ私は発音の面では他の方より有利だったようです。記憶力と理解力が残念ながら良くなかったのですが、それでもいくつかの非常に役立つフレーズを教えてもらいました。私は今でも朝、「スバラシイ!」という言葉が頭の中で反響して目を覚ますことがあります。 学校訪問はものすごく面白いものでした。私が最初に訪問したのは Tachiai 小学校でした。校長先生は学校の方針を説明してくださり、全部の教室を見せてくださいました。大きなスケールの絵、そして木や金属で作ったコラージュが印象的でした。私たちはまた、学校のブラスバンドの明瞭で旋律の美しい、正確な演奏のおもてなしも受けました。また、学校にプールがあり子供たちは恵まれていると思いました。全ての子供たちに教育を行う点が重視され、学校生活では音楽や美術、体育 ( スポーツ ) が重要なものになっていると思いました。また子供らしさや明るく活発に遊ぶ事が大切にされていました。私が見た子供たち全員が必要なときは、自分で責任をとるように指導されている一方で、私のイギリスの生徒の一部にみられるような早い時期から世間擦れした子供にならないよう、育てられていると感じました。子供たちが一輪車や竹馬を使って運動場で遊んでいる光景は、子供に何かあったらすぐ訴訟するというカルチャーが浸透し、運動場で昔から行われてきた多くの遊びを禁じているアメリカやイギリスから来た私たちには特に驚くべきものでした。
2 番目に訪問したのは斑鳩 (Ikaruga) 小学校はとても大きな学校で、能楽堂で修行した先生がおられ、子供たちを指導しておられました。私は子供たちの洗練された歌声、リコーダー演奏、そして能の舞いを堪能させてもらいました。 また一生懸命私たちに英語で質問をする子供たちに、返答をすることも楽しいものでした。 3 校目はこれまでよりずっと少人数で大林小学校を訪問しました。校長先生は何とウェールズを訪問されたことがある方でした。私は 5 年生のクラスにお邪魔し日本の伝統的なゲームを教えてもらいました。お互いに助け合う縦割りの家族班を作っている点にも興味を持ちました。私が訪問した他のどの学校でもそうですが、この学校で私にとって印象深かったのはこの学校の子供たちがとても元気で生き生きとし、騒々しくたった 1 分の時間でもバカ騒ぎするほどでありながら、次はとてもけじめのある行動をするということでした。どの学校でも給食のときに生徒たちが自分たちで配膳・片づけをするのを見て、とても深い印象を受けました。私にとって良い思い出となっているのは大林小学校を訪問した時、隣に座っていた生徒に私が持っていたヨーグルトをあげた時の事でした。私は彼にあげたつもりだったのですが、彼は一人占めせず、回りの友達とジャンケンをして勝った人がもらうことにするようにしました。彼は先生に言われなくてもこのようにしたのです。 ホームステイは今回のプログラムの最大の目玉でした。私がお世話になった 2 件のホストファミリーから受けた歓迎はとてもすばらしく、それぞれのご家庭で 日本の生活を異なった観点から知ることができました。 ホストファミリーの皆さんの親切さ、気配り、そして私の訪問に先立って皆さんが英語を頑張って勉強されたということを知り、私は本当に頭の下がる思いがしました。 ホストファミリーの方々は伝統的な日本の生活習慣と同時に最近のライフスタイルについても教えてくださいました。私はすばらしいもてなしをして頂き、それを十分に満喫させていただきました。今回の旅行で私は茶会にご招待いただき、着物を着たり生け花のお稽古をしていただいたり、伝統的な舞踊を見せていただいたりしました。また、ホストファミリーの方々と一緒に音楽を演奏したり歌を歌ったりしたこと、名古屋城と博物館に連れて行っていただいたこと、ホストファミリーの方が居酒屋でカラオケを歌ったりする様子を見ることなど、普通の旅行者が経験したくてもできない普通の日本の生活の様々な面を知ることができました。
JETRO がアレンジしてくださった今回の訪問では日本の歴史・文化の深さのいろいろな点で知ることができました。私たちは小泉清子さんが館長をされている着物博物館を訪問し、そこで私たちの多くが豪華で高価な着物を着る体験をしました。また私たちは折り紙の先生の指導のもと、複雑な折り紙にも挑戦しました。 そして私たちは奈良市国際交流ボランティア教会 (NIEVA : Nara International Exchange Volunteers Assosiation) 、そして東大寺の住職であり、この会の会長でもある 筒井寛昭 さんから王侯貴族が受けるような歓待を受けました。 私たちはレセプションで歓待を受け、お礼に私たちの国の歌を唄いました。 UK からの参加者はとても少人数でしたが、期待を裏切らないようにウェールズ民謡をしっかりと日本の地で歌いました。話は変わりますが新幹線での移動では、そのダイヤの正確さ、車内の清潔さに非常に驚きました。乗り降りの際に急ぐ必要性を自覚していなかったので、世話役さんを心配させたのではないかと思います。また、奈良町センターでは伝統的なハンドゲームとリズム遊び ( せっせっせのヨイヨイヨイ等と思われる ) と幼稚園児たちによる歌の歓迎を受けました。私は自分の学校に通う日本の児童たちが非常に優れた運動神経を持っていることに気付きました。そして屋外での遊びやハンドゲームと同様にカリグラフィーの授業、折り紙、箸の使い方を見てそれがなぜか分かりました。私はこれらのいくつかを行動不全の病に苦しむ生徒たちのための運動プログラムに組み入れたいと思いました。 浅草寺、中宮寺、東大寺、法隆寺、そして西本願寺の訪問は仏教徒の伝統や信条、即ち日本の伝統的な建築物や遺跡そして対称の美と調和の形成について知るきっかけとなる神秘的な経験となりました。 さて、古いものから新しいものに話が変わりますが、トヨタの工場見学では実際にトランペットを吹く未来のロボットをトヨタ博物館で見ると同時に、クリーンで効率的な生産ラインを見学して驚嘆しました。トヨタ博物館ではなんと社長さんと名刺交換までしたのです! 私たちは月桂冠酒造も訪問し伝統的な日本のお酒がどのように作られるかも見学しました。今回の旅行で忘れてならないのは、滞在中にいただいた素晴らしい日本のごちそうについてです。
私は寿司が大好きになりました。いろんな ( 状態に加工された ) 海草も食べましたがどれもおいしくいただきました。大好きになったうなぎも含め、いろんな種類の魚を食べました。 私たちは料亭「なだ万」で、あのフグまでもご馳走になりました。そしてそこで「料理人はもし誰かがそれを食べて死ぬようなことがあったら自らの命を絶つことを余儀なくされる(だから食べても大丈夫)」と励まされました。 私はこの上なく素晴らしい盛り付けと料理への細心の心配り、そして味と同時に食感も重要視した日本の料理に魅了されました。お箸の使い方もちょっとだけうまくなりました。 京都は美しい街で私がまたいつか行ってみたい所です。そこで私は修行中の芸者さんたちとビヤガーデンでお話をするという、すばらしい夜をすごしました。彼女たちが行っているお稽古の度合い、そしてお化粧にかかる時間を聞きとても驚きました。私にはできそうもない仕事だと思います。 愛知万博では色々見て歩き回りましたが、催し物や世界各国のカラフルな展示のどれもこれもがまるで万華鏡のようにいろいろな印象を私に与えてくれました。 児童たちによる音楽演奏のもてなしだけでなく、京都では歌手の柱本めぐみさんの格式あるコンサートも楽しませていただきました。そして私たちが東京に戻る際のお別れ会では稲本響さんが一期一会の心を大切にし、うつくしい風景と友情を連想させるご本人作の曲を演奏してくださいました。歓迎と親愛に対して笑顔を作りっぱなしで、顔が痛くなったことも何度かありました。また美しい音楽と風景に涙することも。 私は幸運にも日本滞在中に広島を訪れ安らかな雰囲気の平和公園を訪れる事ができました。子供たち作った記念碑が原爆ドームのシルエットそして原爆で焼かれてボロボロになった子供の三輪車の残骸と対照的だったのが心に深く残っています。私たちは原爆の惨禍を生き延び、この黙示録のような経験の記憶を詳しく語る事のできる被爆体験者の方に案内していただきました。これは今回の訪日だけでなく、私の人生の中でも最も心動かされる経験で、私は世界的に市民権を普及させる事の重要性と、あのような事を二度と起こさないという自分たちの責任を強く感じました。 これまでに述べた全ての事でもまだ今回の私の旅の全てを語るには十分じゃないぐらいです。何をお話しましょうか?街の清潔さ、日常的な物のデザインが実用的かつ効率的であること、ほとんど全てのものが自販機で買えること、それと大切な事を言い忘れていましたが、近代的なトイレのテクノロジーも印象に残りました。 私が何を学んだか?いまさら言うまでもないような事はさておき、私は今回の旅で、周りの大多数の人々と違う言語を話す事がどういう感じがするかという事を知り、自分の言いたい事を正しく伝える事がいかに難しいかを学びました。給食を共に食べ、日本の先生・そして生徒の皆さんと授業を共にして私は教えるどころか教わっていました。彼らこそ先生でした。私は日本語もロクに話せない哀れな学習者でした。私は彼らが教えてくれるゲームについて理解しようと努力しましたが、彼らは私の為に英語を勉強してくれていたのです。 私は必要な情報を得るのに他の人に頼らざるを得ない、という立場になったらどんな感じがするかという事を学びました。また私は、たとえどんなに離れていても人間性というものは同じであるという事を学びました。私たちはお互い、異なる点より似ている点の方が多いのです。 私を今回の旅に参加させてくださったウェールズ日本人会とジェトロの方々に厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。 Pam Mahoney 訳責:西田 /Wales 日本人会 |
|||||||