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がんばるお母さんにインタビュー
毎年恒例の中学二年生によるインタビュー。今年は「母もつらいよ」をテーマに、補習校のお母さん三名をお招きして、さまざまなことをお聞きした。
子どものこと、現地校のこと、今だから話せるズッコケ話など、涙あり笑いありの波乱万丈な体験記である。
家族を守るため、異国で大奮闘するお母さんたちの姿を紹介する。

三名のお母さんたち。
「自称‘浜崎あゆみ’でーす!」
インタビューは午前十一時からスタート。中二は少し緊張気味である。
普段、自分の母親とでさえ話すことなどあまりないというのに、まして他のお母さんと話す機会など、そうあるものじゃない。どんなお母さんたちなのだろう。変なこと聞いたら怒られるかな。
十一時ちょうどに、AさんとBさんが中二の教室に入ってこられた。お二人ともにこやかに挨拶される。中二はぎこちなく頭を下げた。少し遅れてCさんも到着。いよいよインタビュー開始である。
まず始めに、三名のお母さんたちに簡単な自己紹介と子どもの学年、日本の学校に通学していた期間について伺った。
「自称‘浜崎あゆみ’のAでーす!」と、元気な明るい声でいきなりみんなを驚かせてくれたAさん。緊張気味だった雰囲気が一気になごやかなものに変わった。
カーディフ在住のAさんは、ウェールズに来て約三年。子どもは小六の女の子が一人。日本の学校には小一から小三の途中まで通学していた。
浜崎あゆみ発言で場を盛り上げてくれたAさん。相当ユニークなお母さんだ。
次は、やはりカーディフ在住のBさん。ご主人は英国人である。子どもは小四の女の子と小三の男の子の二人。香港と台湾の日本人学校へ約三年通学していたとのこと。穏やかな笑みを浮かべた、落ち着いた雰囲気のお母さんである。
最後は、ブリジェンド在住のCさん。ウェールズに来て約二年。高三と小五の女の子のお母さんである。こちらへ来るまではずっと日本で生活し、子どもたちも日本の学校に通学していたとのこと。物静かな話し方をする、優しそうな感じのお母さんだ。

日本とウェールズの学校くらべ
 びっくり&感心したこと
現地校をどう思うか聞いてみた。
AさんとBさんは、「セキュリティがしっかりしているので、安心して子どもを学校に通わせられる。」「ルールがあまりないので、子どもが伸び伸びと学校に行ける。」「スクールディスコがあることにびっくり。パーティも多くて楽しそう。」との意見だった。だが、Cさんは、
「そうですね。日本より楽しいかもしれないけれど、反面、親にしてみれば、勉強しているのかどうかわからないので、ちょっと不安ですね。」
と、心配そうに言った。
現地校は、日本の学校とくらべていろいろな違いが多いことが分かった。特に、現地校は勉強よりも子どもが中心であることが伝わってくる。日本はどちらかというと、勉強第一という印象だ。そのほかにも、現地校は「先生がアイスを食べたり、ティーを飲んだりしながら授業をしている。」「教科書がもらえない。」など、日本では考えられないような違いが浮き彫りになった。

一番困ったこと・辛かったこと
  「今でも・・・・・。」
お母さんたち自身が一番困ったことや辛かったことを聞いてみた。
すると、すかさずBさんが、
「あー、スーパーが遠いんですよ!片道四十五分もかかってホント困るんですよねえ。」
と、本当に困ったように言った。それに続いてAさんも、
「来たばかりの頃、学校からのプリントの英語が分からなくて困りましたね。辞書を使っても、文化や習慣の違いで意味が全然分からなくて。理解するのに三日もかかったことがありましたよ。」
と、今だから言えると楽しそうに笑った。BさんとCさんも、うなずいて納得している。
Cさんは、
「私の場合、日本人が周りにいたのでお互い助け合っていました。だから今でも英語は大変。分からないときは、子どもに聞いてますよ。」
と、ため息をついた。
やはり、英語が分からないことが一番困ることの原因のようだ。英語の大切さが伝わってきた。

今だから話せるズッコケ
Aさんの場合。
「美容院で、『髪の分けめはどこですか。』と聞かれたとき、質問の意味が分からなくて、思わず『日本から来ました。』と言ってしまった。(一同爆笑)」「質問の意味がやっと分かったときは恥ずかしかったけれど、『Parting(パーティング)』という新しい言葉を覚えたから嬉しかった。」
Bさんの場合。
「『Inset day(インセットデー)』の意味が分からず、子どもを学校に連れて行ったことがある。」
Cさんの場合。
「郵便物に切手を貼らずに投函していました。それも何度も。」
(一同、一瞬意味が分からず聞きなおす)
「ほら。別納ってあるでしょ。もうお金が払ってある封筒。あれかと思ってたんですよ。あとから聞いたら、相手側はそのつどお金を払ってくれていたようです。申し訳ない。」
いろいろ苦労したんですね。お母さん。

補習校に不満???
ここで、補習校に対する満足度とその理由を聞いてみた。
「ええ。とても満足しています。」
と、はっきり答えたのはAさん。
その理由として、
「先生が一生懸命だし、いろいろなことに親が参加できるのがいいですね。」
と満足そうに言った。ハリス先生が横で嬉しそうな笑顔を浮かべた。
Bさんは、
「そうですよね。何をしているのか親がはっきりと分かっていることが安心できますね。」
と言い、「大満足です。」と笑った。
Cさんは、
「校長先生は、子どもたち一人一人を母のように見守って下さっている。ありがたいことですね。」
と微笑んだ。

子どもによろしく!
子どもに対する希望はなんだろうか。勉強のこと、宿題のこと。なんだかいろいろと出てきそうだ。覚悟して聞いてみた。
Aさんは少し考えてから答えた。
「そうですね。やはり健康でいて欲しいということですね。」
Aさんの答えに、Cさんはびっくりした様子で「えー、勉強じゃないんですか!」と叫んだ。これに対しAさんは、
「いや。うちの子は勉強はするし、本も読むから。やっぱり健康が一番ですよ。」
と、余裕の笑みを浮かべた。一同、尊敬のまなざしでAさんを見つめた。
BさんとCさんは、
「いいわねえ。うちは自分で宿題ができるようになって欲しいですね。」
「漫画じゃない本を読んで欲しいわね。」
と、それぞれこぼした。
子どもに対する希望は、どこのお母さんも同じなのだなと、しみじみと感じた。

「友だちが欲しい」
最後に、お母さん自身がこれからやってみたいことについて聞いてみた。
「実は乗馬がしたいんです。時代劇を見てかっこいいと思っていたんですよ。日本に住んでいたらそんな機会なかなかないじゃないですか。イギリスに住んでいる今がチャンスだと思うんです。」
少し恥ずかしそうに笑ってCさんはそう答えた。すでに心は乗馬している自分をイメージしている様子だ。
「私は、将来日本を売りにしたビジネスをしたいですね。」
そう答えたのはBさん。すかさずCさんが、「コンビニかなんかですか。」と聞く。Bさんは意味ありげに「ふふふ」と微笑した。どんなビジネスなんだろうか。すると、Aさんがぽつんとつぶやいた。
「友だちが欲しい。」
Aさんのつぶやきに、一同しんとする。
Aさんは続けた。
「普通におしゃべりする人はいるんです。でも、それが友だちと言えるのかどうか・・・。」
日本人の友だちはできても、現地の友だちをつくるのは大変らしい。やはり、言葉の壁があるからだろうか。「友だちが欲しい」というAさんのつぶやきに無言でうなずくお母さんたちやハリス先生を見て、とても重い意味があるのだなと思った。

インタビュー&編集
中2 岩本さなえ・水穂優太・安田泰・土山隆
平成十八年二月