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>>>メニューページに戻る 補習校便り 2009年1月
新年のご挨拶
田口知子
新年あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い致します。
昨年の世相を表す漢字は「変」でした。金融危機に首相の交代という政治経済の激変、世界的な気候の異変、そして秋葉原殺傷事件など人の心のありようの変化。その一方で、オバマ氏が「チェンジ」をキーワードに次期米大統領選で勝利しました。「変」の字は、変革への希望や期待も抱かせてくれます。新しい年が、良い方向へ変わっていくことを祈ります。
世相を表す漢字は、日本漢字能力検定協会が一般募集し、一番投票の多かった漢字を「その年の漢字」として12月12日に発表しています。「いい字」を一字は覚えてほしいという意味をこめて、この日を「漢字の日」にしているそうです。暗いニュースが多いと、「いい字」が登場するとは限らないでしょうが、漢字に興味を持ち、漢字に親しむきっかけになるのは間違いありません。私はこの漢字一文字に自分の思いをこめるアイデアがとても気に入っていて、毎年、新年の抱負を漢字一文字にして、書き初めをしています。昨年は「習」でした。習い事や具体的に目に見えてできるようになった「習い」はありませんが、自分自身の振り返りにつながる「習い」はあったので、貴重な一年でした。
さて、今年は「新」という漢字をキーワードに選びました。年始を新しい気持ちで迎えるのは、当たり前のことですが、新しい何かとの出会いを楽しむことと、新鮮な気持ちを持ち続けられるよう努力したいと思います。
「新」という字は、斧で切ったばかりの切り株の上に立って新しいことが始まると勝手な解釈をしていましたが、漢字のなりたちを調べると、「新」は辛の語族に入っています。「辛」はナイフのような刃物を図形で表した象形文字で(辛い味は舌を刺すような感じがするから)、そこから「生々しい」とか「肌に接する」というイメージにつながりました。つまり斧で切ったばかりの生木から「新」という字がなりたっています。ついでに、切ったばかりの生木で薪(たきぎ)、生木を肌を切らんばかりに身近で見ているのが「親」という漢字です。高学年の皆さんも、今年の目標を漢字に表して、同時にその漢字のなりたちについて調べてみませんか。
(20091月10日)
新しい人との出会いから
田口知子
毎年、ロンドンの領事館で「新年名刺交換会」が開催されます。大使のご挨拶と乾杯の後、自由懇談となるランチタイムの立式パーティーです。補習校校長として、今回2年ぶりに出席しました。150人程度の参加者のほとんどが、金融や企業関係の男性で、女性は10人程。松井先生や他の補習校の校長先生方とご一緒できて、ほっとする中、せっかくの機会なので何人かの女性の方とお話をしてみました。法律事務所や文化教育機関など、ロンドンでは女性の職場も幅広いようです。
そのお一人から、国際児のお子様が小6まで補習校に通学されていたとお聞きして、ご家庭でどのような支援をされたのか、詳しく教えていただきました。
「壁は小2の時。一年生の時と比べて、漢字の勉強や宿題などをこなすのが、大変になったからです。母親と話をする時は、必ず日本語を徹底。ただ、現地校から帰宅した時は、英語頭になっているので、子供は学校での出来事を英語で話します。そんな時は、子供の言ったことを日本語に訳して、こういうことがあったのねと、繰り返してあげます。そうすると、自然に日本語の会話に移っていきました。面倒でも、意識して日本語に訳した文を聞かせました。母親には子供の言いたいことを理解できる英語力が必要でしょう。漢字の読み書きは、なかなか進みませんでした。でも、それは後からついてくればよいと、あせらないようにして、補習校の宿題を毎日少しずつ、親子で取り組みました。教科書には振り仮名をつけ、一緒に音読し、内容を理解させました。補習校の勉強は、夕食後。英国人の父親が、母子で日本語の勉強をする時間がとれるように、食後の片付けを担当してくれました。父親の側面的なサポートが、不可欠です。私の場合は、仕事があり、補習校の授業料を自分で負担したことも、理解と協力を得る上で有利でした。」
基本の学習はできたと考え小6で区切りをつけ、現在は現地校の勉強に専念。日本語のGCSE試験をめざしているそうです。新しい人と出会って、興味深いお話を聞くことができた新年会でした。
(20091月17日)
算数的思考力を育てるために
田口知子
かけ算九九は、小2の2学期に学習します。先日、かけ算のテストをしました。20分程度でできる簡単な理解度チェックのテストです。基本レベルの文章問題は、次の二つです。「あめが6つずつ入ったはこが5はこあります。あめはぜんぶでなんこありますか。」「ボートが8そうあります。1そうに9人ずつのると、ぜんぶでなん人のれますか。」最初の問題は、6×5=30とすんなり解答できますが、二つ目は、数字が出てくる順番で、式を8×9としてしまいやすい問題です。正解は9×8。
かけ算は同じ数のまとまりに注目して、一つ分の数がいくつ分かで、式をたてます。ですから、8×9とすると、8人ずつが9組あることになってしまいます。9×8は、9+9+9+9+9+9+9+9という意味です。
授業でも、「1箱にジュースが6本入っている。最初に4箱あって、2箱のんでしまった。残りのジュースは何本か」という問題で、2×6か6×2か、議論になったことがありました。正解は6×2ですが、「2箱残っていて、中に6本ずつ入っているから、2×6だ。」とAさん。一時帰国から帰英したばかりのBさんが、おそらく日本の学校で何回も練習したのでしょう。「何個がいくつ分と考えればいい。」と説明してくれました。Aさんは、しばらく考えていましたが、最後は、2本ずつ入った箱を6箱描いて、2×6の意味が納得できました。最後にC君が「こういうのが楽しいよね。」答えを導き出す過程をいろいろ考えるところにこそ、算数のおもしろさがあるのですが、実際には、短い授業時間の中で、こうした学習活動はどうしても限られてしまいます。
また、学習事項も、土曜日の授業だけでは、なかなか定着しません。今回、上記の問題の式が二つとも正解できた児童は、少なかったです。(一時帰国された方に持ち帰られた試験を見せていただきましたら、かけられる数とかける数が逆になっていると、やはりバツでした)
九九を全部学習した後に、「倍とかけ算」の章があります。「3㎝の3ばいの長さは」といった問題です。倍の学習をしていると、C君がうれしそうに「なんだ、かけ算って倍のことだったのかあ。」私は一瞬エ!と思いましたが、とても納得できました。子供の思考回路は全体が見えている大人とは全く次元が異なります。算数の勉強は子供自身の思考回路の中で、「あ、そうか」とピンとくる瞬間を重ねないと、真の理解にはつながりません。その瞬間をどう作るかが、大人達の課題です。
さて、もう一度、かけ算の式の話に戻ります。式は、問題の内容を理解して作ります。それなら、こういう場合はどうでしょうか。「りんごを3個ずつ5人に配る時、りんごは何個いるでしょうか」上記の考え方だと3×5が正解です。しかし、一人に1個ずつ配ることを三回繰り返すと考えれば、5個/回×3回=15個になります。論理としてはこれも正解でしょう。ただ個/回×回=個となる計算は、分数のかけ算の考え方がきちんとできるようになってからでないと、混乱します。
テストには、6×5になる問題作りも出題しました。これはほとんどの児童ができました。6個ずつ5人に配るというパターンの中で、6個の5倍の考えを使った児童も一人いました。子供の発想は、とてもおもしろいです。中学の数学担当から、今年度初めて小2を担当して、発見したことがもう一つ。それは、低学年の算数とて、なかなか奥深く、おもしろいということです。
(20091月31日) |