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補習校便り 2008年5月
~本校の国語の指導方針 読む力について~ 田口知子
国語学習には「話す・聞く」「書く」「読む」の領域があり、学年ごとに教える内容が、学習指導要領に記載されています。例えば小5.6年の「読む」領域では、「目的や意図などに応じて、文章の内容を的確に押さえながら要旨をとらえる」「登場人物の心情や場面についての描写など、優れた叙述を味わいながら読む」のように説明されています。一言で言えば、初めて見る文章でも、正確に読み取れるようになることが目標です。読む力の基本は、漢字・語彙力です。しかし一つ一つの言葉の意味が全部分かったからといって、その文章が完全に読み取れたことにはなりません。筆者の伝えたいことを、自分のものとして理解するためには、日頃から読む訓練が必要です。つまり自分が体験していないことや知らないことが書かれた文章を、想像したり考えたりしながら読んでいく訓練が必要だということです。 普段から読書に親しんでいれば、読む力が鍛えられますが、それは本の質にもよります。簡単に内容が理解できる軽い読書では、読む力はつきません。読む力をつけるためには、少し難しい文章を読むことが必要です。娯楽本で数をこなしていれば、自然に読む力が上のレベルに到達していくというものではないのです。考えながら読み、読みながら考えていく、徹底した読みの方法を訓練していくためにあるのが、国語の教科書です。 教科書は、指導要領に沿って編集され、検定に合格した物です。学習目標を達成するために選ばれた質の高い文章が集められています。海外の日本人学校では、国語の教科書は、光村図書の物が採択されています。本校でも教科書の教材を核とした国語指導を行っています。 複式クラスの国語指導については、学年末に職員会でも検討してきました。そして各学年の教材を並行指導するよりも、共通教材を使って一斉指導した方が、効率がよく、読む力を伸ばすことが出来ると考え、今年度は他社の教科書からも主教材を選ぶことにしました。こうすれば、光村の教科書を中心にしながら、2年間で教材が重複しないようにすることができます。教科書は、今春、一時帰国した折に教科書の問屋に行って、購入して来ました。小5,6年は学校図書、東京書籍、教育出版の3社、中1,2年は三省堂を加えた4社。掲載されている文章は、教科書により様々なので、他社の教科書から教材を選ぶ場合は、光村の教科書で指導する学習目標の順番で、各学年の学習目標を達成できる教材を選びました。文法事項や漢字・語彙の学習は、光村の教科書で進めます。このように教室学習では、主教材を用いて一斉指導による徹底した「読み取り」学習を行います。学習目標を明確にして選んだ教材を使って、読みの訓練を続ければ、確実に読む力が鍛えられます。 教室学習の良さは、一人読みでは気づかなかった点に、気づいたり、人の意見を聞いて新たな視点が生まれたりする点です。こうした読み方の訓練を続けながら、宿題に読解問題が出されることもありますから、短い文を読む応用練習として取り組んでください。読書もしながら、いろいろな学習活動を通して読む力を伸ばしましょう。 (5月3日)
~本校の国語の指導方針 書く力について~田口知子
書く力と読む力は、どちらも連動した力です。読む力があって、書く力につながり、書く力があって、読む力へとつながります。しかし、書くことができれば読むことができます。書くことは、学力を定着させるために、手抜きをしてはいけない部分です。本校では書く力を伸ばすために、次のような取り組みを行っています。 まず書く力の基本となる漢字の学習について。本校では、全学年共通の様式で、新出漢字のプリントを用意しています。右半分には漢字の読みと熟語を書き、左半分は既習・新出漢字の練習ができる文章になっています。漢字指導は、クラスの状況に応じて、担任が工夫して行っています。漢字を覚えるには、時間をかけて実際に書いて覚えていくしか方法はありません。楽な方法はないのです。学校で、漢字小テストや漢字実力テストを行っていますから、地道に書き練習を続けてください。たとえ一夜漬けの勉強でも、必ず努力の成果は残ります。書くことを面倒がらないで、漢字の練習を続けていけば、確実に漢字力が定着します。漢字を覚える時に大切なことは、漢字を一つだけ独立して覚えるのではなく、熟語として覚えることです。そして実際にその熟語が正しく使えるか、短文を作ってみることが大切です。 次に、重視していることは、定期的に文章を書き続けることです。小4まではあのねちょう、小5からは意見文と取り組みます。あのねちょうは、いわゆる日記のことです。低学年児童にとって、毎週あのねちょうを書き続けることは、決して楽ではありません。小1の時から親子で奮闘し続け、小3の中ごろになって、ようやく書くことが苦にならなくなったという話はよく聞きます。そのくらい、継続しなければ、習慣として定着しないということです。楽な道はありません。あのねちょうは、短くてもかまいません。面倒でも、苦しくても毎週書き続けてください。どんなことを書こうか、どんなふうに書こうか、と考える訓練が、思考力を伸ばします。高学年の意見文では、新聞記事を読んだり、テーマを設定したりして、自分の意見を書く練習をします。 最後に、書き写しについて。これは、担任の裁量で行っています。定期的に宿題に出されなくても、時間にゆとりがある場合は、ご家庭で積極的に取り組んでみてください。原稿用紙やノートに、教科書の文章などを書き写していくので、読む力と書く力の両方を伸ばしてくれます。語彙が増え、その用法も具体的に分かります。表現力も身につきます。あのねちょうに書くことがどうしても見つからない場合は、この書き写しをして、その後に一言感想を書いておいたらどうでしょう。例えば、何分くらいで書いたか、どこで書いたか、家の人に何と言ってもらったか、書き写しをしてどう思ったか、などです。読む力が十分にある子供でも、書くことで手抜きしていると、学力は伸びません。がんばりましょう。 (5月10日)
~本校の国語の指導方針 話す・聞く力について~田口知子
本校では、二月に学習発表会を行っています。これは一年間学習してきたことの発表の場として、年間指導計画の中に位置づけられています。出し物は、音読、朗読、調べ学習の発表など、学級内で相談して決めます。ステージつきのホールが使えるので、大勢の人の前で、緊張感を持って話す貴重な機会になっています。 今年の春、2003年に帰国された下村舞さんについて、うれしいニュースが届きました。舞さんは現在愛知県の中学一年生です。これからの三年間、NHKの中学生日記に出演するそうです。この話をお聞きして、すぐに小学1年生の舞さんが学習発表会で、「動物の赤ちゃん」の司会をした時の姿が思い出されました。マイクを手に観客を楽しませてくれた舞さん。その舞台度胸には、本当に感心したものです。お母様によると、これがきっかけとなって、舞台好き演技好きの芽が育ったといいますから、こんなにうれしいことはありません。小学校の学芸会では、ほとんど主役を務めていたそうです。舞さんのこれからの活躍が楽しみです。 補習校の教育活動は、あらゆる場面が話す・聞く力の向上につながります。日々の授業はもちろん、高学年で行う討論会や、低学年の読み聞かせなど、工夫して取り組んでいます。学力の土台をなすのは、言葉の力です。授業で新しいことを教わる時に、先生の話をきちんと聞き取って理解できる子供は、着実に学力を伸ばしていくことができますが、聞く力が弱いと、学力を伸ばしていく上で、とても不利です。人の話を集中して聞くことができる力、話の内容を正しく聞き取るのに必要な語彙力や構文理解力、こうした聞く力は、一朝一夕には身につきません。子供の話す・聞く力は、家庭での会話の質に大きく左右されます。話をきちんと聞いてもらえる良い聞き手がいれば、誰でも進んで話をしたくなります。良い聞き手になるには、子供の話を興味を持って聞くことです。学校の後で「今日、学校どうだった」と漠然と聞くのではなく、「算数で何を習ったか」「今日はどんな本を読んだか」など、具体的に質問することで、学習面のつまづきも察知することができます。また、その日習ったことを、反復することもできます。高学年になれば、一緒にニュースを見て、解説をしてあげたり、意見を交換したりすることができるでしょう。ちょっとした機会に、社会や歴史、科学の話をしてあげることは、子供の知識や思考の幅を広げます。ひいては、勉強に対する関心や意欲にもつながっていきます。最近、お子様と何か心に残る話をされましたか。お子様が関心のある話題は、何でしょうか。子供が何歳であっても、話をする時は子どもの心ときちんと向き合って、話をしたいと思います。必要な場面では、主語述語、助詞、接続詞を意識して、丁寧な言葉で語りかけたいと思います。それが、子供の聞く力を伸ばします。書き言葉の原型は、話し言葉にあるのですから、軽視できません。同時に、子供自身が、きちんとした言葉使いで、挨拶や話をする機会も意識的に用意してあげたいと思います。 (5月17日)
~これからの学び方について 算数、数学(1)~ 田口知子
国際的な学力調査として、経済協力開発機構(OECD)が15歳児(高1)を対象に3年おきに行うPISAとよばれるテストがあります。資料や文章を読み解いて実生活に生かし、問題を解決できる活用能力(科学的リテラシー、読解力、数学的リテラシー)を見ます。こうした学力はPISA型学力と呼ばれています。2年前のテストでは、日本は読解力と数学的リテラシーで、順位が大きく下がり、学力低下論争が沸点に達しました。昨年、40年ぶりに復活した全国学力調査(小6と中3を対象に、国語と算数、数学のテストを四月に実施)は、このPISA型学力を意識しているようで、国語と同様に、算数、数学においても、「知識」中心のA問題に加え、「活用」中心のB問題に分けて実施されました。B問題は、表やグラフを見て理由などを記述する問題です。「単なる計算だけでなく、実生活の生のデータで、算数、数学が使えなければ意味がない」という考えに基づいています。ところで三月に新しい学習指導要領が告示されました。10年毎の改訂です。現行指導要領では、教える内容の「三割削減」が実施されましたが、学力低下の批判を受け、指導内容と授業時数が増えることになりました。例えば小学校では、計算能力向上のために、導入、発展と2学年継続で指導します。つまり今の学年に次の学年で習う内容が先取り学習として加わるわけです。またすべての教科において、言語力が重視されています。土台になるのは、国語ですが、他の教科でも、記述や発表を通じて、知識を活用していく力を身につけていきます。PISAや全国学力調査の「活用」問題に見られるように、知識を実際に活用する学習活動が重視され、数学では「資料の活用」の領域が新設されます。新しい学習指導要領の全面施行は、改訂内容の周知や教科書の執筆、検定に時間がかかるため、2011年からの予定です。2008年は、来年度から始まる移行期の前段階として、改訂の基本的な考え方や趣旨の理解をはかる年度となります。本校は、文部科学省管轄の学校ではないので、教科書を中心にしながら、児童生徒の学習状況に応じて柔軟な指導を行っています。例えば、算数では担当講師の裁量で、複数の問題集を用いて、既習事項の習熟をはかる復習問題やチャレンジ的な発展課題を与えています。日本に帰国された方から、「国語はあまり問題がないが、数学は悪戦苦闘している」という話を耳にすることがあります。日本では、塾で鍛えられているからなのでしょうか。また「計算は得意なのに、応用問題が弱い」とか「ケアレスミスが多くて、得点が伸びない」といったご相談を受けることがあります。算数の力を段階的に伸ばすためには、どんな勉強をすればよいのでしょうか。また高学年になってから、算数・数学を得意科目にするためには、どんな勉強が大切なのでしょうか。 (5月31日)
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