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補習校便り 2009年7月 



読書の習慣化


田口知子


 朝会の前の「朝の読書」は、友達が読んでいる本に興味を持つ相乗効果も期待しています。本を持っていない生徒には、子供新聞を用意しています。最近は「この記事がおもしろそうだ」と言って持っていきます。読書が身近なものになるとよいです。

 ところで、2010年は「国民読書年」です。昨年、衆参両院で、このことが決議されました。2000年の「子ども読書年」に続いて、今回は対象が大人にまで広げられました。読書離れと言われますが、全国学校図書館協議会などの調査によると、一ヶ月に一冊も本を読まない小中高校生の数は、減少傾向にあるそうです。2008年のデータでは、一ヶ月に読む平均冊数は、小学生11.4冊、中学生3.9冊といずれも過去最高です。

 しかしながら、朝日新聞の記事によると、「大学生は授業に関係ない本をあまり読まない、児童書もページ数を減らす傾向だといい、読書の質の変化を危惧する出版関係者は多い」そうです。いっとき、無名の書き手が、ケータイで物語を発信していく「ケータイ文学」が、ブームになりました。今はあまり耳にしません。まるでファッションのような流動性です。マスコミが宣伝すれば、誰もが飛びつくような本との出会いは、少し心配ですが、瀬戸内寂聴さんが「読書のすすめ」の中で、次のようなことを書かれていました。 「私は子供の頃から本が好きで、五歳年長の姉の影響を受け、小学校に上がる前から字を覚え、姉の雑誌を覗いていた。小学校にあがってからは、地元の公立図書館に通うことを覚え、日曜日はそこに入り浸っていた。世界各国の童話を片っぱしからそこで読んだ。(中略)母のとっている婦人雑誌なども、手当たり次第に読んだ。その一方、姉の担任教師の家にまで出かけていって、日本文学全集や世界文学全集も読みふけった。全くの乱読である。

 その乱読の中から、自然に、よい小説、品の高い小説、名作、傑作とよばれる小説を読み分ける力をそなえてきた。それは人に教えられたものではなく、本そのものが教えてくれた。私は自分の経験からも、子供の頃から読書の習慣をつけることをすすめたい。

 良書の選別をして子供に与えるなどしないでいい。子供が自分でその判別法を、読書から身につけていくと信じてよい。今は子供たちの読書離れがひどいと心配されている。子供が本ぎらいになるのは、親や先生の干渉が多いせいもあるのではなかろうか。 

 子供の中には、悪書をうさんくさく思ったり、気持ち悪く感じたりする自然な自浄作用がそなわっている。本を好きにならせるには声に出してよみあう読書会などつくるのがよい。朗読は自分の読書の喜びを、同時に人と共有する楽しさがある。千年前の
『源氏物語』がそうだった。すべて音読されていたものだ。 読書の楽しさを覚えると、人は自然に自分も書いてみたい本能に目覚める。日記でも、手記でも、手紙でもよい。書くことで自分を発見していく。読書の今日曲の恵みは、自分を識()り、他者を理解する力を与えられることだ。親は自分の若い日に感動した本を子供にすすめよう。子供にとっては立派な古典として心に縫いつけられるだろう。」大変参考になる意見です。
                                        (2009 74)



研修会に参加して

田口知子

 先週ロンドンで開催された現地採用講師研修会は、参加者にとって、日頃の指導を振り返り、今後の活力を与えてくれる貴重な機会となりました。何よりも、国語指導の基本をおさえることができたことに、成果を感じています。国語の教科書には、精選された文章が掲載されています。読みの力を鍛えるためには、じっくりと考えながら読み進めることが必要です。そして、他の人の考えを聞いたり討議したりすることで、新しいことに気づき、読みを深めていくことが授業の目標になります。この過程にこそ、国語学習の意義があり、学習するおもしろさが存在します。だからこそ、とおりいっぺんの答えではなく、異なる意見が出てくる発問が、授業の要になるのだと、再認識しました。一つの発問で、討議中心に進む研究授業は、とても新鮮で、児童一人一人の発言を引き出す工夫がなされていました。講義の後の演習では、詩の教材分析を行い、発問を考え合いました。教材として取り上げられたのは、次の詩です。小5の教科書に掲載されています。




              未確認飛行物体   入沢康夫

薬缶だって、空を飛ばないとはかぎらない。水のいっぱい入った薬缶が 夜ごと、こっそり台所をぬけ出し、町の上を、畑の上を、また、つぎの町の上を心もち身をかしげて、一生けんめいに飛んで行く。

天の河の下、渡りの雁の列の下、人工衛星の弧の下を、息せききって、飛んで、飛んで、(でももちろん、そんなに速かないんだ)  そのあげく、砂漠のまん中に一輪咲いた淋しい花、大好きなその白い花に、水をみんなやって戻って来る。



 さて、皆さんは、この詩の主題をどのように読み取られますか。指導講師のダービー補習校の田中校長先生は、この詩は中学生の授業でも扱えるとおっしゃっていましたが、大人でも様々な意見が登場し、知的刺激に満ちた討議ができました。国語の教材には、年齢に応じた読みができる柔軟性があります。討議を通して、私も一人の学習者になった気分を味わうことができました。これは、新鮮な体験でした。子供たちに学習する楽しさを味わわせ、受身ではない学習をさせるコツを、身を持って体験できたことは、大きな収穫でした。
                                      
(2009  711)

 


成果が残せる夏休みを

田口知子

 いよいよ夏休みです。親子で楽しい時間をたくさん共有できますように。本校のサマースクールも、調理実習の他に、理科工作やミニ運動会など、親子で一緒に取り組める活動を計画しています。

 さて、夏休みは、自由学習と取り組むよいチャンスです。国語なら、ドリルを使った漢字の復習、読書や親子の交換日記、作文書きなどはどうでしょうか。自由学習のノートは、休み明けに担任の先生に提出して下されば、努力を評価します。算数、数学は、低学年で学習したことを積み上げていく教科ですから、理解が不十分な弱点を残すと、あとの学習に響きます。例えば、教科書の問題をノートに解き直す、ドリルの問題練習をして間違い直しをする、時間を計って計算練習をするなど、お子様のニーズにあった復習方法を工夫してみて下さい。特に、小5の算数は、後半から分数の計算、割合と百分率の学習と内容がさらに難しくなります。算数、数学が苦手だと、問題を解くのに時間がかかりますが、力をつけるには、問題を一つずつ手で書いて解き続けるしか、方法はありません。国語は、これ、算数、数学はこれ、と何か一つ、徹底してがんばる目標を決めて(親子で相談して)、夏休みの計画に加えて下さるようにお願いします。計画を決めたら、お子様が計画を遂行できるように、応援してあげて下さい。「本を読みなさい」「日記を書きなさい」と言うのではなく、お家の方もお子様の横で本を広げたり、書くことと取り組まれたりするのが効果的です。最後に、家の手伝いをさせることもお願いします。
                                       
(2009  725)